決算説明資料や投資家向けニュースで、EBITDAという言葉を目にするたびに、なんとなく読み飛ばしてしまっていませんか。
「営業利益に減価償却費を足したもの」——検索すればすぐにそう説明されます。でも、「なぜわざわざ足し戻すのか」「営業利益だけを見てはいけないのか」「この数字、本当に信用していいのか」というところまで理解できている人は、実はそう多くありません。
それは、あなたの読解力が足りないからではありません。多くの解説記事が「計算できる」ところで説明を終えてしまい、「その数字の性質を見抜く」ところまで連れていってくれないだけです。
実はEBITDAには、他の会計指標にはない大きな特徴があります。日本基準にもIFRSにも、公式に定義された計算方法が存在しないのです。この事実は単なる豆知識ではありません。企業が「調整後EBITDA」として、都合の良い数字を作り出せてしまう余地にも直結しています。
財務会計を専門とする大学教員として、この記事ではEBITDAの基本的な計算方法・EBITDAマージンやEV/EBITDA倍率での評価方法という基礎から、「なぜ利益操作に使われやすいのか」「調整後EBITDAの何を疑うべきか」という、一般的な解説記事では触れられない視点まで、研究と教育の経験を踏まえて丁寧に解説します。
読み終えるころには、EBITDAという数字を「決算資料でよく見る専門用語」から、「その企業の本当の稼ぐ力を見抜くための、注意深く扱うべき道具」として使いこなせるようになっているはずです。ぜひ最後までお付き合いください。
この記事でわかること
- EBITDAの意味と、EBIT・営業利益との違い
- 複数ある計算式とその使い分け
- EBITDAマージン・EV/EBITDA倍率での評価方法と業種別の目安
- 国際比較・M&Aで重宝される理由
- EBITDAが「公式に定義されていない」ことの本当の意味(研究者視点)
- 「調整後EBITDA」に潜む罠と、利益操作リスクの見抜き方
- 有価証券報告書から実際に算出する手順
- EBITDAを使いこなすための実務的な注意点
記事の執筆者

・年間300人以上の大学生に簿記を教える大学教員。
・日本人の会計リテラシーを高めるを理念に、会計ラボを運営中。
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1. EBITDAとは何か──「設備投資の影響を除いた、本業の稼ぐ力」

1-1. 正式名称と読み方(イービットディーエー/イービッダー)
EBITDAとは、「Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization」の略称です。日本語に訳すと「利払い前・税引き前・減価償却前利益」となります。
読み方は「イービットディーエー」「イービッダー」「イービッタ」など複数のバリエーションがあり、決まった呼び方はありません。
M&Aの現場や証券会社のレポートでは「イービッダー」と呼ばれることが多い印象です。
Amortizationには「のれん」やソフトウェアなど無形固定資産の償却費も含まれます。つまりEBITDAは、有形固定資産の減価償却費だけでなく、無形固定資産の償却費も足し戻した指標です。
1-2. なぜ利息・税金・減価償却費を「足し戻す」のか
EBITDAの本質は、「会社ごとに条件が異なる要素を取り除いて、本業がどれだけキャッシュを稼ぐ力があるか」を見ようとする点にあります。
| 足し戻す項目 | 会社ごとに異なる理由 |
|---|---|
| 支払利息 | 借入金の多さ・金利水準は会社の資本構成の選択によって変わる |
| 法人税等 | 国や地域によって税率が異なる |
| 減価償却費 | 設備投資の規模・時期・償却方法(定額法/定率法)によって金額が変わる |
| のれん償却費 | M&Aの規模(のれんの大きさ)、償却年数の違いによって金額が変わる。また、会計基準によって償却されるかどうかが違う(日本のみ償却)。 |
これらを除外することで、「借入の多さ」「税制の違い」「設備投資のタイミング」「会計基準の違い」に左右されない、事業そのものの収益力を比較できるようになります。これがEBITDAが国際比較やM&Aで重宝される理由です。
1-3. EBITとの違い──減価償却費を含むか含まないか
似た指標に「EBIT(イービット)」があります。違いは減価償却費を足し合わせているかどうかです。
| 指標 | 正式名称 | 減価償却費の扱い |
|---|---|---|
| EBIT | Earnings Before Interest and Taxes | 含めない(差し引いたまま) |
| EBITDA | Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization | 足し戻す |
減価償却費が赤字になることは基本的にないため、EBITDAの数値はEBITより必ず大きくなります。設備投資が重い製造業などでは、この差が特に大きく開きます。
2. EBITDAの計算方法と具体的な計算例──どの計算式を使うべきか

2-1. 最も簡易な計算式(営業利益+減価償却費)
実務で最も広く使われるのがこちらの計算式です。
【営業利益からの計算方法】
EBITDA = 営業利益 + 減価償却費(無形固定資産の償却費を含む)
営業利益は「本業で稼いだ利益」であり、既に支払利息・法人税等が差し引かれる前の金額です。そこに減価償却費を足し戻すだけで、簡易的にEBITDAを算出できます。すぐに大まかな数字を知りたいときに適した方法です。
2-2. EBITDAの精緻な計算式(経常利益・税引前利益・当期純利益からの逆算)
より正確に、あるいはEBITDAの定義に忠実に計算したい場合は、以下のような計算式も使われます。
【経常利益からの計算方法】
EBITDA = 経常利益 + 支払利息 + 減価償却費
【税引前当期純利益からの計算方法】
EBITDA = 税引前当期純利益 + 特別損益 + 支払利息 + 減価償却費
【当期純利益からの計算方法(定義に最も忠実)】
EBITDA = 当期純利益 + 法人税等 + 特別損益 + 支払利息 + 減価償却費
当期純利益から逆算する方法は、EBITDAの各要素(利払い前・税引き前・減価償却前)をすべて足し戻すため、定義に最も忠実な計算方法です。国ごとの税率や会計ルールの違いを厳密に調整したい海外企業比較やM&Aの場面で使われます。
2-3. EBITDAの計算例
【設定】
営業利益:500万円 / 減価償却費:200万円
EBITDA = 500万円 + 200万円 = 700万円
この会社は、損益計算書上の営業利益は500万円ですが、減価償却費という「実際には現金が出ていかない費用」を差し引く前で見ると、700万円のキャッシュ創出力を持っている、という見方ができます。
2-4. 複数の計算式がある理由──会計基準上「公式な定義がない」という事実
ここで、多くの解説記事があまり深掘りしないポイントに触れておきます。
EBITDAは、日本基準にもIFRS(国際財務報告基準)にも、法定の表示科目として存在しない指標です。損益計算書や貸借対照表のどこにも「EBITDA」という科目は出てきません。
これは「非(non)GAAP指標」(会計基準で明確に定義されていない、企業が独自に算出・公表する指標)と呼ばれる性質のものです。
だからこそ、営業利益ベース・経常利益ベース・当期純利益ベースといった複数の計算式が並存しているのです。
財務分析の授業で「EBITDAの計算式を1つ覚えればいいですか?」と聞かれることがよくあります。
答えは「いいえ」です。複数の計算式が存在すること自体が、EBITDAという指標の性質を物語っています。
会計基準で厳密に定義された利益(営業利益や当期純利益)とは違い、EBITDAは「企業が自分たちの都合で組み立てられる利益」という側面を持っています。この点は、後ほど詳しく掘り下げます。
3. EBITDAマージン・EV/EBITDA倍率での評価方法

3-1. EBITDAマージンとは──売上に対する収益力の割合
EBITDAマージンは、売上高に対してEBITDAがどれくらいの割合を占めるかを示す指標です。
EBITDAマージン(%) = EBITDA ÷ 売上高 × 100
数値が大きいほど、収益性が高いと判断されます。
【計算例】
売上高:100億円 / 営業利益:5億円 / 減価償却費:2億円
EBITDA = 5億円(営業利益) + 2億円(減価償却費) = 7億円
EBITDAマージン = 7億円(EBITDA) ÷ 100億円(売上高) × 100 = 7%
営業利益率(この例では5%)と比べると、EBITDAマージンの方が大きい数値になります。設備投資が重い企業ほど、この差が開きやすくなります。
3-2. EV/EBITDA倍率とは──企業価値の割安・割高を測る
EV/EBITDA倍率は、企業価値(EV:Enterprise Value)がEBITDAの何倍にあたるかを示す指標で、「簡易買収倍率」とも呼ばれます。
M&Aの初期段階で企業価値を大まかに把握する際によく使われます。
EV = 株式時価総額 + 純有利子負債(有利子負債 − 現預金等)
EV/EBITDA倍率 = EV ÷ EBITDA
この倍率は、「その企業を買収した場合、EBITDAの何年分で投資額を回収できるか」という目安になります。
ただし、これは単純な「投資回収期間」を示すものではなく、あくまで類似企業の倍率と比較するための「ものさし」として使われる点に注意が必要です。
3-3. 業種別の目安(ザイマニ・上場企業データ)
ザイマニが公表している上場企業データによれば、2025年の全業種の中央値は7.1倍とされています。ただし業種によって水準は大きく異なります。
| 業種傾向 | EV/EBITDA倍率の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 設備投資が重い製造業系 | 5〜7倍程度 | 資本集約型ビジネスで固定資産が多く、倍率が抑制されやすい |
| サービス業 | 8〜15倍程度 | 設備投資が少なく、人的資本中心のビジネスモデル |
| IT・情報通信業 | 9〜17倍程度 | 無形資産による高収益性が評価されやすい |
⚠️ 注意:上記はあくまで参考値です。個別企業の競争力・成長性・市場環境によって大きく変動します。数値は執筆時点の参考値であり、最新のデータはご自身で確認してください。
3-4. 目安を鵜呑みにしてはいけない理由──業種構造の違い
「8〜10倍が平均」という目安だけを見て、個別企業の割安・割高を判断するのは危険です。業種構造そのものが、倍率の水準を大きく左右します。
たとえば成長期にある企業では、将来の収益拡大への期待から10倍を超える倍率が正当化されることもあります。
一方、成熟期の企業では8倍を超えると割高と判断されやすくなります。同業種・同じ成長段階の企業と比較することが、正確な評価の前提です。
4. EBITDAのメリット──なぜ国際比較・M&Aで重宝されるのか

4-1. 減価償却方法の違いに左右されない
減価償却の計算方法には、毎年一定額を償却する「定額法」と、未償却残高に一定率をかける「定率法」があります。
どちらを採用するかで各年度の利益は変わりますが、EBITDAは会計方針の影響を受けません。
会計方針の違いに左右されない収益力の比較が可能になります。
4-2. 税率・金利水準が異なる海外企業とも比較しやすい
国によって法人税率も、借入時の金利水準も異なります。
EBITDAはこれらの影響を除外して計算されるため、異なる国の企業同士でも税率や金利などの影響を排除し、収益力を公平に比較しやすくなります。
グローバルに事業展開する企業の分析で重宝される理由です。
4-3. 設備投資が重い業種の実態を正しく評価できる
製造業や宿泊業のように、大規模な設備投資と多額の減価償却費が発生する業種では、営業利益だけを見ると実態より収益力が低く見えてしまうことがあります。
EBITDAはこの影響を取り除くため、設備投資の規模やタイミングに左右されない収益力を評価できます。
5. 【会計学的視点】EBITDAが「利益操作」に使われやすい理由

このセクションは、財務会計の研究・教育に携わってきた立場から、一般的な解説記事では触れられない「EBITDAという指標の危うさ」をお伝えします。EBITDAは便利な指標ですが、その便利さの裏には、他の会計指標にはない特有のリスクが潜んでいます。
5-1. 「公式な定義がない」ことの本当の意味──足し戻す項目を恣意的に選べる
先ほど触れたとおり、EBITDAには法定の計算式がありません。
これは一見「柔軟性がある」というメリットに見えますが、裏を返せば「企業側が自社に都合の良い項目を選んで足し戻せてしまう」ということでもあります。
営業利益・経常利益・当期純利益のどれを起点にするか、特別損益を含めるか除くか——これらの選択によって、同じ企業でも算出されるEBITDAの数値は変わり得ます。
企業間で比較する際は、相手がどの計算式を採用しているかを必ず確認する必要があります。
5-2. 「調整後EBITDA」という罠──何を調整したかで数字が変わる
実務やIR資料(投資家向け情報)では、「Adjusted EBITDA(調整後EBITDA)」という表現をよく見かけます。
これは標準的なEBITDAに、企業が「一時的」「非経常的」と判断した項目をさらに加減算した指標です。
⚠️ 「調整後EBITDA」で除外されやすい項目の例
- リストラ費用・早期退職金
- 訴訟関連費用
- M&Aに伴う一時的な統合コスト
- 株式報酬費用(海外企業で特に多い)
これらを「一時的だから」という理由で除外すると、実際の収益力より数字が良く見える調整後EBITDAが出来上がります。
特に海外のスタートアップ企業などが「調整後EBITDA黒字化」を強調する場面では、何がどれだけ調整されているのかを確認する視点が欠かせません。
5-3. EBITDAが高いのに営業キャッシュフローが伸びない場合に疑うべきこと
EBITDAは非現金支出である減価償却費を足し戻しますが、売上債権・棚卸資産・仕入債務といった運転資本の増減は反映しません。
もしEBITDAが好調に伸びているのに、キャッシュフロー計算書上の「営業活動によるキャッシュフロー」が伸び悩んでいる、あるいはマイナスになっている場合——それは運転資本が急激に膨らんでいる(売上債権や棚卸資産が積み上がっている)可能性を示唆します。
会計ラボでは、この運転資本の動きを読み解くための指標(売上債権回転期間・棚卸資産回転期間・買入債務回転期間・CCC)を個別記事で詳しく解説しています。
EBITDAと併せて確認することで、より立体的に企業の実態を把握できます。
5-4. 同業他社と比較するときに必ず確認すべきこと
財務分析を学ぶ人が陥りやすい失敗は、「EBITDAが高い方が優れている」と単純に比較してしまうことです。比較する際は、少なくとも次の3点を確認する習慣をつけましょう。
- どの計算式を使っているか(営業利益ベースか、当期純利益ベースか)
- 「調整後」の項目が含まれていないか(含まれる場合、何を調整しているか)
- 営業キャッシュフローと乖離していないか(運転資本の急変動がないか)
6. 有価証券報告書から実際にEBITDAを算出する手順

6-1. どの科目を使うか──P/L上の営業利益・減価償却費の場所
上場企業のデータはEDINET(https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/)で無料公開されています。実際に算出する手順を整理します。
【Step 1:損益計算書(P/L)から営業利益を取得】
- 「売上高」から「売上原価」「販売費及び一般管理費」を差し引いた金額
- P/L上に「営業利益」として明記されている

【Step 2:減価償却費を取得】
- P/Lに独立掲記されないケースも多いため、キャッシュ・フロー計算書を併用する
6-2. 減価償却費は損益計算書に出てこないことがある──キャッシュフロー計算書での確認方法
減価償却費は、多くの企業でP/L上に独立した科目として表示されません。
販売費及び一般管理費や売上原価の中に含まれてしまっているためです。
この場合、キャッシュフロー計算書(CF計算書)の「営業活動によるキャッシュフロー」の区分を確認しましょう。ここには「減価償却費」が調整項目として独立掲記されているのが一般的です。

有価証券報告書のキャッシュフロー計算書、または「連結財務諸表の作成のための基本となる重要な事項」の注記もあわせて確認すると、正確な金額を把握できます。
6-3. IFRS適用企業での注意点
IFRS(国際財務報告基準)を適用している企業では、日本基準と表示が異なる場合があります。
特にIFRS第16号(リース会計基準)の適用により、従来オペレーティングリース費用として計上されていたものが、減価償却費として計上されるようになったケースがあります。
この結果、IFRS移行前後でEBITDAの水準が変化することがあるため、時系列比較の際は注意が必要です。
7. EBITDAを使いこなすための実務的な注意点

7-1. EBITDAだけで投資判断をしてはいけない理由
EBITDAは減価償却費を足し戻すため、設備投資そのものの負担は反映されません。多額の設備投資を継続的に必要とする企業では、EBITDAが好調でも、実際の自由に使えるキャッシュ(フリーキャッシュフロー)は乏しいということが起こり得ます。
7-2. 運転資本の増減・設備投資額と併せて見る
EBITDAを企業分析に使う際は、次の情報と組み合わせることをおすすめします。
- 設備投資額(CAPEX):キャッシュフロー計算書の投資活動区分で確認できる
- 運転資本の増減:売上債権・棚卸資産・仕入債務の動き
- 営業活動によるキャッシュフロー:実際に稼いだ現金の実態
これらを併せて見ることで、EBITDA単体では見えない「本当に自由に使えるお金がどれだけ残るか」が見えてきます。
7-3. 学習方法の選択肢──独学と体系的な学習の比較
EBITDAをはじめとする財務指標を体系的に理解するには、簿記の基礎(減価償却の仕訳・損益計算書の構造)から積み上げて学ぶのが近道です。独学でコツコツ進める方法もあれば、通信講座や予備校を使って体系的に学ぶ方法もあります。
財務会計を専門とする大学教員として教育現場で見てきた経験から言えるのは、「計算式を丸暗記する学び方」よりも「なぜその計算式になるのかを理解する学び方」の方が、応用力が長く続くということです。学習方法に迷っている方は、まず簿記3級レベルの基礎を体系的に学べる教材から始めることをおすすめします。
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無料フルカラーテキスト(全395ページ)、問題集(全326ページ)、解説動画(全12回)がもらえるのはCPA会計学院だけ!
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よくある質問(FAQ)

Q1. EBITDAとEBITの違いは何ですか?
A. 最大の違いは減価償却費を含めるかどうかです。EBITDAは利息・税金に加えて減価償却費も足し戻して計算されるのに対し、EBITは減価償却費を含めずに計算されます。設備投資の規模が大きい業種を評価する際は、EBITDAの方がより実態に近い収益力を示すとされています。
Q2. EBITDAの計算式が複数あるのはなぜですか?
A. EBITDAは日本基準・IFRSいずれにおいても公式に定義された会計基準上の指標ではないためです。営業利益を起点とする方法、経常利益を起点とする方法、当期純利益から逆算する方法など、目的や入手可能なデータに応じて複数の計算式が使われます。企業間で比較する際は、どの計算式が使われているかを必ず確認することが重要です。
Q3. EV/EBITDA倍率の目安はどれくらいですか?
A. 一般的には8〜10倍程度が目安とされますが、業種によって大きく異なります。設備投資が重い製造業では5〜7倍程度、無形資産中心のIT・サービス業では10倍を超えることも珍しくありません。同業種内での比較が基本であり、単純に数値だけで割安・割高を判断するのは避けるべきです。
Q4. EBITDAが黒字でも危険な場合はありますか?
A. あります。EBITDAは非現金支出である減価償却費を足し戻す一方、売上債権や棚卸資産といった運転資本の増減は反映しません。EBITDAが黒字なのに営業キャッシュフローが伸び悩んでいる、あるいはマイナスになっている場合、実際の資金創出力に問題がある可能性があります。EBITDA単体で判断せず、キャッシュフロー計算書と併せて確認することが重要です。
Q5. 「調整後EBITDA」とは何ですか?
A. 標準的なEBITDAに、経営者が「一時的」「非経常的」と判断した費用や収益をさらに加減算した指標です。リストラ費用や訴訟関連費用などを除外するケースが典型例です。ただし、何を「一時的」とみなすかには経営者の裁量が働くため、調整後EBITDAが実態以上に良く見えるよう作られていないか、注記や開示内容を確認する視点が必要です。



