簿記3級の試験で出題される勘定科目の一覧について知りたい!
勘定の内容についても詳しく解説して!
簿記3級では出題される勘定科目が決まっており、全部で95個の勘定科目が登場します。
勘定科目は簿記における専門用語であり、最低限知っておかないと問題を解くことはできません。
英語の試験を英単語を覚えずに受けるのと同じです。
そのため、簿記3級の試験を受ける前には全ての勘定科目を把握し、意味を知っておく必要があります。
私は年間300人以上の学生に簿記を教えている大学教員です。
この記事では簿記3級で出題される勘定科目の一覧表とその意味を徹底解説します。
勘定科目一覧表は日商簿記検定を実施している商工会議所が一般公開していますが、その意味までは解説していません。
この記事では一覧表のみならず、勘定科目を一つずつ解説しているので、簿記3級の学習者にとってきっと役立つでしょう。
記事の執筆者
・年間300人以上の大学生に簿記を教える大学教員。
・日本人の会計リテラシーを高めるを理念に、会計ラボを運営中。
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勘定科目一覧表
日商簿記検定の実施主体である商工会議所は試験出題区分表を開示しており、試験範囲を明確にしています。
その中で、商業簿記標準・許容勘定科目表というものを一般公開しており、検定試験で出題される勘定科目が一覧となっています。
※商工会議所の商業簿記標準・許容勘定科目表は商工会議所HPでダウンロードができます。
商工会議所の勘定科目表を基に一覧表を作成しました。
まずはこちらをダウンロードして簿記3級の勘定科目一覧を確認しましょう。
勘定科目の徹底解説
勘定科目の一覧表を把握しても、各勘定科目の意味について知っておかないと意味がありません。
意外と勘定科目の意味について1個ずつ解説したテキストやブログがありません。
以下、簿記3級の勘定科目について順に1個ずつ解説していきます。
簿記3級で出題される資産の勘定科目
資産の勘定科目は37個あります。
上から順番に解説します。
1.現金
硬貨や紙幣などの通貨や他人振り出しの小切手などの通貨代用証券をさす。
小切手とは、一定の金額の支払いを約束する有価証券の1つです。
銀行で発行された専用の用紙に金額などの必要事項が記入されたもので、現金の代わりとして決済に用いられます。
ゆうちょ銀行が取り扱う普通為替証書、定額為替証書なども通貨代用証券も現金に含まれる。
普通為替は現金を普通為替証書に換えて送付する送金方法である(ゆうちょ銀行HPを参照)。
2.小口現金
小口現金とは、日々発生する細々とした出費に備えて手元に持っておく少額の現金のことをいう。
小口現金は定額資金前渡法(インプレスト・システム)を用いて管理される。
定額資金前渡法とは、定期的に支払額を補給し、小口現金を一定額にするという方法である。
3.当座預金
当座預金とは当座預金口座に預け入れられている預金のこと。
預金口座には普通預金口座と当座預金口座の2種類があるが、当座預金口座は決済に特化した預金口座であり利息はつかない。
当座預金口座を開設することで小切手や約束手形を振り出し決済を簡単に行うことができる。
4.当座預金〇〇銀行
当座預金口座は複数開設されていることがある。
銀行ごとに異なる勘定を用いて当座預金を管理することがある。
A銀行とB銀行の当座預金口座がある場合、「当座預金A銀行」、「当座預金B銀行」の勘定を用いる。
5.普通預金
普通預金は普通預金口座に預け入れられている預金である。
普通預金口座は利息がつく。
6.普通預金〇〇銀行
複数の銀行の普通預金口座を開設することがある。
その場合、銀行名ごとに勘定科目を分けることがある。
A銀行とB銀行の普通預金口座がある場合、「普通預金A銀行」、「普通預金B銀行」を用いる。
7.定期預金
定期預金は定期預金口座に預け入れられている預金のこと。
定期預金は、はじめに預け入れ期間を決めて利用する預金です。
1年、2年、3年後など、満期日まで基本的に引出しができないが、普通預金に比べて金利が高いという特徴がある。
8.定期預金〇〇銀行
複数の銀行の定期預金口座を開設することがある。
その場合、銀行名ごとに勘定科目を分けることがある。
A銀行とB銀行の定期預金口座がある場合、「定期預金A銀行」、「定期預金B銀行」を用いる。
9.受取手形
受取手形とは、企業が営業上の取引を行うにあたり、取引をしている相手から受け取る「約束手形」と「為替手形」のことです。
約束手形とは、期日までに決められた金額の支払いを約束する有価証券の1つです。
約束手形の代金を支払う側を「振出人」、代金を受け取る側を「受取人」と呼びます。
一方、為替手形は為振出人・受取人・支払人(引受人)という、主に3者間の取引で利用される決済方法である。
約束手形や為替手形を受取人として受け取った場合、受取手形として資産に計上する。
10.売掛金
売掛金は商品を販売したが代金を受け取ってない場合の、代金を回収する権利(債権)のことをいう。
いわゆるツケの部分をいい、将来に商品やサービスの販売代金を受け取ることができる権利をいう。
11.クレジット売掛金
顧客からクレジット・カードの提示を受け商品を販売した場合、「信販会社(クレジットカード会社)から代金を受け取る権利」が生じる。
通常の掛け売上で発生する「売掛金」と区別するために、「クレジット売掛金」勘定を用いる。
12.電子記録債権
電子記録債権は、電子債権記録機関の記録原簿に電子記録されることで発生する債権です。
電子記録債権が発生した場合、「電子記録債権」勘定を資産に計上します。
手形は保管コスト、紛失・盗難リスクなどの問題点があります。
また売掛金は債権譲渡が事実上困難であり、早期に現金化することは難しいです。
電子記録債権はこうした問題点を解消した新しい決済手段です。
電子記録債権についてはでんさいネット「電子記録債権とは」に詳しく解説されています。
13.貸倒引当金
貸倒引当金とは、取引先が倒産し、支払い不能となった状態に備えて、事前に損失額を予測して計上しておく引当金です。
会計では将来の特定の支出や損失に備えるために、予めその損失を見越して引当金を設定することがあります。
貸倒引当金の設定により収益・費用対応の原則による適正な期間損益計算が可能となり、また保守主義に基づく安全な会計を行うことができます。
貸倒引当金の設定時、「貸倒引当金」勘定は負債に計上されますが、貸借対照表の表示上、売上債権の評価勘定として用いられます。
つまり、売上債権の控除として貸倒引当金が資産側にマイナス勘定として表示されます。
14.繰越商品
繰越商品は、前期から当期に、または当期から次期に繰越される商品のことでいわゆる在庫のことである。
期首にある在庫は期首商品棚卸高、期末にある在庫は期末商品棚卸高という。
期末において、期首商品棚卸高を仕入に戻し、期末商品棚卸高を繰越商品に繰り延べることで売上原価が算定される。
15.貸付金
貸付金とはある期限までに返済してもらう約束で貸し付けたお金のことをいう。
貸し付けた金額は将来に現金として回収することができる債権である。
貸付金が発生した際、「貸付金」勘定を資産に計上する。
16.手形貸付金
手形貸付は、借用証書の代わりに約束手形を振り出すことによって実施する貸出をいう。
金融目的で振り出された手形は金融手形と呼ばれ、営業取引目的の商用手形と区別される。
約束手形を振り出して貸し出しを行った場合、通常の貸付金と区別するために手形貸付金(資産)勘定を用いる。
17.従業員貸付金
従業員貸付金とは、従業員に貸し付けた金銭のことをいう。
通常の貸付金と区別するために、従業員への貸し出しは従業員貸付金(資産)勘定を用いる。
18.役員貸付金
企業役員に金銭を貸し出すことがある。
この場合、通常の貸付金と区別するために役員貸付金(資産)勘定を用いる。
会社役員とは、経営方針の決定、業務や会計の監査などを担う人を指す。
会社法で定義されている会社役員は、①取締役、②会計参与、③監査役の3役である。
任意で常務、専務、執行役員なども設置できる。
19.立替金
立替金は、取引先や従業員などが本来負担すべき金銭を、会社が一時的に立て替えたときに計上する勘定科目です。
立替金は将来現金として回収される債権である。
会社が一時的に支払いを立て替えた場合、その支払いは「立替金」(資産)勘定を使い仕訳する。
20.従業員立替金
従業員立替金は従業員に対して立て替えを行った場合の立替金勘定であり、通常の立替金とは区別して記録することがある。
簿記3級の問題でいうと、従業員の給料の前貸しなどが従業員貸付金に該当する。
21.前払金
前払金とは、商品購入のために前払いをした金銭のことである。
商品やサービスを注文するとき、代金の一部を手付金(内金)として先に支払うことがあります。
手付金を支払った場合、将来の商品購入時に代金の支払いを減少させる効果がある。
そのため、前払金勘定は資産として仕訳される。
22.未収入金
未収入金は営業活動以外の取引で発生する債権で、資産に計上される。
例えば、営業用車両を売却し、その売却代金が後払いされる場合、未収金(資産)勘定で仕訳される。
23.仮払金
仮払金とは、用途や金額が未確定の場合に概算で一時的に支払われる金銭のことをいう。
例えば、従業員の出張にあたり会社は旅費の概算額を一時的に支払うことがあり、その場合、仮払金(資産)勘定が計上される。
また、事業用ICカードへのチャージも支払い時点では用途と金額が未確定であるため、仮払金勘定で仕訳される。
24.受取商品券
商品の販売時に他社や自治体が発行した商品券を受け取ることがある。
商品券は発行会社や自治体に請求することで将来現金として回収される債権である。
商品券を受け取った場合、受取商品券(資産)勘定で処理する。
25.差入保証金
土地や建物などの賃借にあたり、敷金などの名目で保証金を差し入れることがある。
保証金は、現状回復のための諸費用を補填するために使用される金額を除き、差入元に返還される。
そのため、将来に現金として回収される債権となる。
保証金を支払った場合、差入保証金勘定(資産)を用いて処理する。
26.貯蔵品
郵便切手は購入時に通信費(費用)、収入印紙は租税公課(費用)として処理されるが、決算において未消費分が残っていることがある。
郵便切手や収入印紙は換金性が高く金額的にも重要となる可能性があるため、決算において未消費分を貯蔵品勘定(資産)に振り替える。
27.仮払消費税
消費税は最終的に消費者が負担する税金であるが、商品等を売り上げた事業者である企業が納税義務者となる。
税抜方式で消費税を処理する場合、仕入時に支払う消費税は、仮払消費税勘定(資産)を用いて処理する。
同時に商品の販売時に受け取る消費税は、仮受消費税勘定(負債)を用いて処理する。
28.仮払法人税等
株式会社は法人税、住民税及び事業税の前年の税額が20万円以上の場合、中間納付を行わなければならない。
中間納付を行った場合、その税額は仮払法人税等勘定(資産)を用いて処理する。
当年度の税額はまだ未確定であり仮払金となるが、他の仮払金と区別するため仮払法人税等勘定が用いられる。
29.前払費用の各勘定
前払費用の計上は、決算日においてすでにサービスの対価を支払ったが、そのサービスの提供が次期以降となる場合に必要となる。
サービスの対価は既に支払っているため、対価分の費用が計上されている。
決算日においてまだ受け取っていない分の費用を減少させ、前払費用勘定(資産)を計上する。
30.未収収益の各勘定
未収収益は、決算日において既にサービスの提供を行ったが、その対価の受取日が到来していないため、未収となっている時に計上される。
サービスの提供は既に行っているが、対価は受け取っていないため収益が計上されていない。
決算日において当該収益を計上し、相手勘定として未収収益勘定(資産)を計上する。
31.建物
建物は建物を購入した時に計上される資産である。
事務所や店舗、工場、倉庫などが該当し、原則として屋根、床、壁を有する工作物である。
32.建物減価償却累計額
減価償却累計額は、有形固定資産の諸勘定に対する控除勘定(評価勘定)で、間接法を用いる場合に使用される。
建物減価償却累計額は建物の減価償却累計額であり、貸方に記帳されるが、貸借対照表においては建物の控除勘定として借方に記載される。
33.備品
備品は備品を購入した時に計上される資産である。
備品はオフィス用品などが該当し、建物や車以外の物品の多くは備品に該当する。
通常、10万円以上の物品は備品に該当し、10万円未満の物品は消耗品費として処理される。
34.備品減価償却累計額
減価償却累計額は、有形固定資産の諸勘定に対する控除勘定(評価勘定)で、間接法を用いる場合に使用される。
備品減価償却累計額は備品の減価償却累計額であり、貸方に記帳されるが、貸借対照表においては備品の控除勘定として借方に記載される。
35.車両運搬具
車両運搬具は車両を購入した時に計上される資産である。
36.車両運搬具減価償却累計額
減価償却累計額は、有形固定資産の諸勘定に対する控除勘定(評価勘定)で、間接法を用いる場合に使用される。
車両運搬具減価償却累計額は車両運搬具の減価償却累計額であり、貸方に記帳されるが、貸借対照表においては車両運搬具の控除勘定として借方に記載される。
37.土地
土地を購入した時に計上される資産である。
土地は事務所や店舗などの敷地が主に含まれる。
土地は減価しないため、減価償却は行われない。
簿記3級で出題される負債の勘定科目
簿記3級で出題される負債の勘定科目は21個あります。
以下、一つずつ解説します。
38 支払手形
支払手形は商品の仕入など営業取引において代金を支払う手段として振り出された約束手形や為替手形をいう。
支払手形は負債として計上される。
39 買掛金
買掛金とは、営業取引において代金を後払いする際に発生する債務のことである。
買掛金は将来現金を支払う義務であり、負債に計上される。
40 電子記録債務
電子記録債務は、電子債権記録機関の記録原簿に電子記録されることで発生する債務です。
電子記録債務が発生した場合、「電子記録債務」勘定を負債に計上します。
電子記録債権についてはでんさいネット「電子記録債権とは」に詳しく解説されています。
41 前受金
商品の売買契約を結ぶ際に、代金の一部を手付金として受け取ることがある。
受け取った手付金は前受金といい、前受金勘定(負債)を貸方に記入する。
42 借入金
借入金は借用証書などを交わして返済義務を負った金銭のことで、銀行、取引先など他社や他人から借りた金銭をいう。
金銭を借り入れた場合、借入金勘定(負債)を貸方に計上する。
43 役員借入金
役員借入金は借入金のうち会社役員から借り入れた金銭をいう。
会社役員から借り入れた場合、通常の借入金と区別して役員借入金勘定(負債)を貸方に計上する。
会社役員とは、経営方針の決定、業務や会計の監査などを担う人を指す。
会社法で定義されている会社役員は、①取締役、②会計参与、③監査役の3役である。
任意で常務、専務、執行役員なども設置できる。
44 手形借入金
手形借入金とは、手形を用いて、お金を借り入れた場合に発生する借入金である。
通常の借入金は借用証書を用いるが、その変わりに手形を用いることがある。
通常の借入金と区別するために、手形借入金勘定(負債)として貸方に計上される。
45 当座借越
企業は銀行との間で当座借越契約を結ぶことで口座残高を超えた金額の小切手を振り出せるようになる。
当座借越は実質的に銀行に対する借入金である。
簿記3級においては、期末において当座預金の金額が貸方(つまり、マイナス)である場合、当座預金の貸方金額を当座借越勘定(負債)に振り替える。
46 未払金
未払金は主たる営業以外の取引によって生じる債務をいう。
例えば、備品を購入してその代金のうちに未払分がある場合、未払い金勘定(負債)として貸方に記入する。
47 仮受金
現金などの収入はあったが、その内容や金額が未確定の場合、一時的に借受金勘定(負債)の貸方に記帳される。
後日、その内容や金額が確定したときに、仮受金勘定から該当する勘定に振り替える。
48 未払費用の各勘定
未払費用は、既にサービスの提供を受けたが、支払日がまだ到来していないため、決算日において未払いとなっているときに発生する。
決算日において既にサービスの提供を受けているため、その分の費用を借方に計上し、相手勘定として同額を未払費用勘定(負債)として貸方に計上する。
49 前受収益の各勘定
前受収益は、既にサービスの対価を受け取っているが、そのサービスの提供が決算日以降に行う場合に発生する。
前受収益分の対価は収益として貸方に計上しているが、未提供であるため決算日においてその分の収益を減少させる。
同額を相手勘定として前受収益勘定(負債)に貸方に計上する。
50 預り金
一時的に金銭を預かったときは、預り金勘定(負債)として貸方に記入する。
51 従業員預り金
預り金のうち従業員に対するものについては、他の預り金と区別するため従業員預り金勘定(負債)で処理する。
52 所得税預り金
企業は、従業員の給料に対して課税される所得税を給料から差し引いて預かり(源泉徴収)、後日、国に預かった所得税を納める。
従業員の所得税として預かった(源泉徴収)した金銭は、所得税預り金勘定(負債)として処理する。
53 住民税預り金
従業員の所得税と同様に、企業は従業員の給料に対して課税される住民税を給料から差し引いて預かることがある。
従業員に課される住民税を預かった場合、従業員預り金勘定(負債)で処理する。
54 社会保険料預り金
従業員の所得税・住民税と同様に、企業は従業員の給料に対して課税される社会保険料を給料から差し引いて預かり、企業負担分と合わせて国に後日納める。
従業員負担分の社会保険料を預かった場合、社会保険料預り金勘定(負債)を用いて処理する。
55 仮受消費税
消費税は最終的に消費者が負担する税金であるが、商品等を売り上げた事業者である企業が納税義務者となる。
税抜方式で消費税を処理する場合、売上時に受け取る消費税は、仮受消費税勘定(負債)を用いて処理する。
同時に商品の販売時に受け取る消費税は、仮受消費税勘定(負債)を用いて処理する。
56 未払消費税
未払消費税は決算において確定される企業が納付すべき消費税の金額である。
決算において、仮受消費税(負債)と仮払消費税(資産)の額を相殺して、差額を未払消費税(負債)に計上する。
57 未払法人税等
企業は税引前の当期純利益に基づいて算定される法人税、また法人税に連動して決定される住民税と事業税の額が決まる。
決算において法人税、住民税及び事業税(または法人税等)勘定(費用)を借方に計上する。
法人税、住民税及び事業税は決算において計上されるが、実際の支払いは決算日後の翌期となるため、未払法人税等勘定(負債)を貸方に計上する。
58 未払配当金
配当は、通常、株主総会の決議で決定され、配当が決定した時に繰越利益剰余金を減額し、同額を未払配当金勘定(負債)に計上する。
未払配当金は、後日、株主に配当が支払われることによって減額される。
簿記3級で出題される純資産(資本)の勘定科目
簿記3級で出題される純資産(資本)の勘定科目は3個あります。
以下、一つずつ解説します。
59 資本金
資本金勘定は、株主からの払込額は資本金勘定(資本)に計上される。
株主からの払込は、①株式会社の設立時と②新たに資金を調達するために株式を発行する場合(増資)に生じる。
60 利益準備金
利益準備金は会社法によって積み立てることが義務付けられている法定準備金の1つである。
会社法は、配当を行うごとにその額の10分の1を利益準備金として計上することを要求している。
配当時に利益準備金を計上する場合、利益準備金勘定(資本)に計上あsれる。
利益準備金は、会社財産の過度の流出が生じないように計上される。
61 繰越利益剰余金
繰越歴剰余金は、企業が創業から積み上げてきた利益の合計額である。
決算において当期純利益が計算され、その額が繰越利益剰余金に振り替えられる。
繰越利益剰余金は配当の源泉となる。
簿記3級で出題される収益の勘定科目
簿記3級で出題される収益の勘定科目は8個あります。
以下、一つずつ解説します。
62 売上
売上とは、企業の主たる事業活動で得られる収益の総額で、商品やサービスを提供することで得られる対価のことである。
商品やサービスを提供した時点で、売上勘定(収益)の貸方に計上する。
損益計算書上では「売上高」と表記される。
63 受取家賃
受取家賃は、建物の賃借サービスを提供することで得られる対価のことである。
対価を受け取った時点で、受取家賃勘定(収益)の貸方に計上する。
なお、企業の主たる事業が建物の賃借サービスである場合(例えば、不動産業)、受取家賃勘定ではなく売上勘定を用いる。
64 受取地代
受取地代は、土地の賃借サービスを提供することで得られる対価のことである。
対価を受け取った時点で、受取地代勘定(収益)の貸方に計上する。
なお、企業の主たる事業が土地の賃借サービスである場合(例えば、不動産業)、受取地代勘定ではなく売上勘定を用いる。
65 受取利息
受取利息は、金銭を貸し付けた対価として得られる金利収入の総称である。
例えば、金融機関に預け入れた預金金利、貸付金利息、受取割引料、有価証券利息等がある。
66 雑益
雑益とは、他の勘定科目に当てはまらない収益のことである。
簿記3級では現金の超過(帳簿価額よりも実際有高が多い状況)が発生し、原因が不明な場合に雑益勘定(収益)の貸方に計上する。
67 貸倒引当金戻入(益)
貸倒引当金戻入(益)は決算において貸倒れの見積額よりも貸倒引当金勘定の残高のほうが多い場合に、貸倒引当金の減額する際に発生する収益である。
貸倒れの見積額よりも貸倒引当金勘定の残高のほうがすでに多い場合には、貸倒引当金が過大に設定されているため、貸倒引当金勘定の残高が貸倒れの見積額を超える額だけ貸倒引当金を減額する。
68 償却債権取立益
償却債権取立益は、過年度に貸倒れとして処理した売掛金などの一部または全部が、当期になって回収されることによって生じる収益である。
69 固定資産売却益
固定資産売却益は、売却価額が帳簿価額より高い場合に生じる収益である。
簿記3級で出題される費用の勘定科目
簿記3級で出題される費用の勘定科目は26個あります。
以下、一つずつ解説します。
70 仕入
仕入とは商品やサービスを販売するために商品や原材料を調達するために費やされる金銭のことをいう。
仕入れを行った場合、仕入勘定(費用)の借方に計上される。
なお、商品や原材料の仕入に掛かった仕入諸掛り(引取運賃など)は仕入に含めて処理される。
71 売上原価
売上原価とは売上に対応する売り上げた商品やサービスの原価をいう。
売上原価は次のように計算される。
売上原価=期首商品棚卸高 + (当期)仕入高 ー 期末商品棚卸高
72 発送費
発送費は商品を発送するための送料のことである。
送料を負担した場合には発送費勘定(費用)の借方に計上する。
73 給料
給料は従業員に支払う給料のことであり、支払った時点で給料勘定(費用)の借方に記帳する。
74 法定福利費
法定福利費は企業が負担する社会保険料をいう。
従業員の給料の支給にあたり、従業員負担の社会保険料を差し引いて支給する。
後日、企業は従業員負担の社会保険料とあわせて、企業が負担すべき社会保険料を支払う。
企業負担分の社会保険料は、法定福利費勘定(費用)の借方に記帳される。
75 広告宣伝費
広告宣伝費は、商品やサービスを販売するために必要な広告や、宣伝にかかる費用のことである。
広告や宣伝を行った場合、広告宣伝費勘定(費用)の借方に記帳する。
76 支払手数料
支払手数料は、取引に関する手数料や費用のことである。
金融機関との取引で発生する手数料などが該当する。
支払手数料を支払った場合、支払手数料勘定(費用)の借方に記帳される。
77 支払利息
支払利息は、ローンや借入金の返済で支払う利息費用のことである。
78 旅費交通費
旅費交通費は、移動や出張などにかかった旅費や交通費をいう。
79 貸倒引当金繰入
貸倒引当金繰入とは、将来の貸倒れの費用を認識するために計上される費用である。
決算において貸倒引当金を設定する際には差額補充法が用いられる。
差額補充法とは貸倒引当金に残高がある場合には、期末における貸倒れの見積額と貸倒引当金勘定の残高との差額を、新たに貸倒引当金繰入として費用に計上する方法である。
貸倒引当金繰入の金額の分、貸倒引当金が貸方に記帳される。
80 貸倒損失
貸倒損失とは、売掛金、受取手形、電子記録債権などの債権を回収できなくなった際、つまり貸倒によって発生する損失である。
貸倒れが発生した場合、貸倒損失勘定(費用)の借方に記帳される。
81 減価償却費
有形固定資産は使用や時の経過に伴って価値が減少する(減価)。
決算において、当期中の価値の減少分を費用として計上し、その減価分に相当する金額だけ有形固定資産の価値を減少させる(減価償却)。
減価分に相当する金額を減価償却費という。
なお、有形固定資産のうち土地は減価がないと想定され、減価償却は行われない。
82 通信費
通信費は取引先や顧客との通信手段に費やされた金銭をいう。
携帯電話料金、インターネット代、郵便切手の購入などが通信費に該当する。
83 消耗品費
消耗品費は、主に短期間で消耗する物品の購入に払った金銭である。
例えば、帳簿やボールペンなどの少額の事務用品などがある。
10万円以内の物品は購入時に消耗品費として費用処理することが一般的である。
84 水道光熱費
水道光熱費は、電気料金(電気代)、ガス料金(ガス代)、水道料金(水道代)を指す。
また、冷暖房に使う燃料などの料金も含まれます。
水道光熱費を支払った際、水道光熱費勘定(費用)の借方に計上する。
85 支払家賃
支払家賃は、建物に関わる賃借料である。
事務所や店舗など、事業用の建物を借りる際に発生する家賃は、支払家賃勘定(費用)の借方に計上する。
86 支払地代
支払地代は、土地に関わる賃借料である。
土地や駐車場の賃借などで発生した土地の賃借料は、支払地代勘定(費用)の借方に計上する。
87 保険料
保険料は、生命保険料や損害保険料の支払いである。
保険料を支払った場合、保険料勘定(費用)の借方に計上する。
88 租税公課
会社に課される税金には、利益に課される税金と利益以外の金額に課される税金がある。
利益以外の金額に基づいて課される会社への税金は、納付した時に租税公課勘定(費用)の借方に計上される。
利益以外の金額に課される税金として、固定資産税、自動車税、印紙税などがある。
固定資産税は、毎年1月1日時点で所有している固定遺産(土地・建物・機械など)に課される税金である。
自動車税は、自動車の排気量に応じて課税される地方税であり、毎年4月1日時点での所有している自動車の所有者に課される税金である。
印紙税は、経済取引等に伴って契約書や領収書などの文書を作成した場合に、印紙税法に基づきその文書に課税される税金である。
90 雑費
雑費とは、事業上の費用のうち、他の勘定科目にあてはまらないものをいう。
91 雑損
雑損は、本業以外の支払いで金額が少額の費用をさす。
簿記3級においては、現金の不足が生じ、原因が不明であった際に雑損勘定が用いられる。
92 固定資産売却損
固定資産売却損とは、固定資産を売却した際に、帳簿価額よりも売却価額が下回る場合に発生する損失である。
93 保管費
保管費は、商品や製品などを得意先に納入するまでの間、一時的に倉庫を借りて保管する費用を指す。
94 諸会費
諸会費は、商工会や商工会議所への加盟料や年会費などに支払った金銭をいう。
諸会費が発生した場合、諸会費勘定(費用)の借方に計上する。
商工会は一般的には小規模企業が加盟する団体であり、商工会議所は中規模企業が加盟している。
商工会と商工会議所の違いの詳細は全国商工会連合会のHPにある。
95 法人税、住民税及び事業税
法人税、住民税及び事業税(法人税等)は、税引前の当期純利益にもとづいて課税される種類の税金を指す。
決算において、税引前当期純利益が確定したのちに法人税、住民税及び事業税勘定(費用)の借方に計上される。
簿記3級の勘定科目一覧表|まとめ
簿記3級の勘定科目は95個とかなり多いです。
勘定科目は英語でいう英単語となるので、しっかりと把握しておきたいところです。
全て知っていれば、簿記3級の試験は怖くありませんので最終確認に利用頂ければと思います。
皆様が無事に簿記3級を取得できるように祈っています!
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