公認会計士の通信講座おすすめ比較|合格者データから選ぶ6つの軸【大学教員】

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公認会計士スクール

公認会計士の通信講座、どれを選べば正解なんだろう

比較サイトをいくつも開いたのに、かえって決められなくなった。そんな状態でこのページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

そして講座を比べているうちに、もうひとつの不安が顔を出してくる。「そもそも自分に、この試験を突破できるだけの力があるんだろうか」と。

迷ってしまうのは、あなたの決断力の問題ではありません。

検索結果に並ぶ記事の多くが「料金表」と「合格者占有率ランキング」でできていて、肝心の判断軸——自分の場合、どの機能にお金を払うべきなのか——を示してくれないからです。数十万円という金額の重さも、決断をいっそう難しくします。

私は会計学・財務会計を教えている大学教員です。毎年300名を超える学生に会計を教える中で、同じ環境を用意しても、伸びる人と途中で止まる人がはっきり分かれる場面を何度も見てきました。

そこで見えてきたのは、合否を分けているのは地頭ではないということです。試験の構造と、自分が確保できる時間に合った設計を選べているかどうか——差が生まれるのは、ほとんどここでした。

この記事では、公認会計士の通信講座を「答練の母集団・選択科目への対応・続けられる設計」という観点から比較する方法をお伝えします。あわせて、他の比較記事がほとんど触れていない合格者の属性データ——学生が6割を占め、会社員は5.4%にとどまるという事実が、何を意味するのかも解説します。

読み終えるころには、「自分が優先すべき条件」がはっきりして、候補が2〜3社に絞れているはずです。難関試験であることは事実ですが、順序さえ間違えなければ届きます。まずは、迷いを一つずつ減らしていきましょう。

記事の執筆者

会計ラボ
会計ラボ

・年間300人以上の大学生に簿記を教える大学教員。

・日本人の会計リテラシーを高めるを理念に、会計ラボを運営中。

結論:

グループ該当する講座特徴費用の目安
A:実績・答練重視型CPA会計学院資格の学校TAC資格の大原
教材の完成度と答練の母集団で戦う。合格実績を公表60万〜80万円
B:継続支援型クレアール範囲を絞り、担任制で走り続けさせる。社会人の長期戦を想定中価格帯
C:低コスト自走型スタディングLEC機能を絞って価格を抑える。学習設計は本人に委ねる12万〜数十万円
あなたが最も重視するもの方向性理由(対応する軸)
合格実績と答練の母集団CPA会計学院近年の合格者数が業界最多。受講者が多いこと自体が母集団の大きさになる。
体系的なカリキュラム/受験日程からの逆算資格の学校TACコース選択の分岐が明確で、短答の受験回に合わせて選びやすい。
計算科目の演習量と質問しやすさ資格の大原常駐講師体制と計算重視のカリキュラム。合否を分ける2科目に厚い。
途中で止まらない仕組みクレアール担任制で定期的に人と話せる。社会人向けにプランが細分化。
必要な科目だけ柔軟に買いたいLEC短答・論文を段階的に受講でき、単科の追加購入がしやすい。
初期費用を抑えて始めたいスタディング最安値。スマホ完結で細切れ時間に対応。

公認会計士合格者の60%以上がCPA会計学院出身です。

2025年の合格者数1,092人、合格者占有率は66.7%脅威の合格実績を誇るCPA会計学院

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CPA会計学院について詳しく知りたい人は以下の記事を参照にして下さい。

  1. 結論:公認会計士の通信講座は「答練の母集団・質問環境・継続設計」で選ぶ
    1. タイプ別・最短で結論が出る早見表
    2. 上位比較サイトの「合格者占有率ランキング」だけで決めてはいけない理由
  2. 数字で見る公認会計士試験の現実
    1. 令和7年試験の結果(願書22,056名/論文式合格1,636名/合格率7.4%)
    2. 合格者の6割は学生・専修学校生、会社員はわずか5.4%というデータの意味
    3. 職業別の合格率が示す、本当の分かれ目
    4. 願書提出から論文式受験まで、なぜ4分の1以下に減るのか
    5. 短答式は年2回・相対試験──「70%取れば受かる」ではない
    6. 必要な勉強時間の目安が「2,500〜4,000時間」と幅を持つ理由
  3. 公認会計士の通信講座を比較する6つの軸
    1. ①答練・模試の母集団規模──相対試験で最も効く投資
    2. ②財務会計論・管理会計論の講義設計(合否を分ける2科目)
    3. ③質問対応と担任制──通信で「孤独」に負けないための機能
    4. ④論文式の選択科目(経営学・経済学・民法・統計学)への対応
    5. ⑤受講期間の延長・再受講制度──2〜3年戦を前提にした保険
    6. ⑥実質コスト(割引・給付制度・追加費用を差し引いた金額)
  4. 公認会計士試験の通信講座の比較
    1. 料金帯で見る全体像
  5. 公認会計士の主要通信講座を比較【料金・合格実績・サポート一覧】
    1. 料金帯で見る全体像
    2. 【先に結論】重視するものが決まれば、候補は絞れる
      1. 2つの問いで、グループはほぼ決まります
    3. CPA会計学院|合格者占有率トップ、実績と教材の質を重視する人向け
    4. TAC|長い歴史と全国展開、体系的なカリキュラムを求める人向け
    5. 資格の大原|常駐講師と計算科目対策、演習量を重ねたい人向け
    6. LEC|科目別受講の柔軟さ、費用を抑えつつ質を求める人向け
    7. クレアール|非常識合格法と担任制、社会人の長期戦向け
    8. スタディング|低価格・スマホ完結、まず始めてみたい人向け
    9. 各社の「合格者数・占有率」をどう読むか
  6. 【タイプ別】あなたに合う公認会計士講座の選び方
    1. 大学生・時間を確保できる人(在学中合格を狙う場合)
    2. 働きながら目指す社会人(合格率2.5%の現実とどう向き合うか)
    3. 簿記1級・2級から会計士へ進む人
    4. 短答式に不合格だった再受験者
    5. 費用を最優先したい人(無料教材との併用設計)
  7. 会計士試験でつまずく人に共通する3つのパターン
    1. パターン1|計算科目を「解法の暗記」で乗り切ろうとする
    2. パターン2|インプットが終わらないまま答練期に入る
    3. パターン3|短答対策に偏り、論文式の理論が間に合わない
    4. 講座選びでこの3つをどう予防するか
  8. 公認会計士は独学でも合格できるのか
    1. 独学が現実的に難しい3つの理由
    2. 無料教材・市販テキストでどこまで進められるか
    3. 「独学+答練パック」というハイブリッドは成立するか
  9. 簿記から会計士へ──どの順番で進むのが効率的か
    1. 簿記2級・1級と会計士試験の範囲はどこまで重なるか
    2. 1級を先に取るメリットとデメリット
    3. 簿記を経由せず会計士講座から入るという選択
  10. 受講開始から合格までの学習スケジュール例
    1. 2年コース(初学者・学生)の標準的な流れ
    2. 1.5年コース(短期集中)が成立する条件
    3. 働きながらの3年計画という現実解
    4. 短答式合格から論文式までの数か月をどう使うか
  11. 合格後のリアル|公認会計士になるまでの道のり
    1. 論文式合格=公認会計士ではない(実務経験・実務補習・修了考査)
    2. 監査法人への就職と、その先のキャリアの広がり
    3. 会計士試験の学習が「会計を読む力」に変わる瞬間
  12. 公認会計士の通信講座に関するよくある質問(FAQ)
    1. Q1. 公認会計士の通信講座はいくらくらいかかりますか?
    2. Q2. 公認会計士試験の合格率はどのくらいですか?
    3. Q3. 働きながら公認会計士を目指せますか?
    4. Q4. 公認会計士は独学でも合格できますか?
    5. Q5. 簿記1級を取ってから公認会計士を目指したほうがよいですか?
  13. まとめ|合格実績の数字より、自分が2年間続けられる環境を選ぶ

結論:公認会計士の通信講座は「答練の母集団・質問環境・継続設計」で選ぶ

先に結論をお伝えします。見るべきなのは、次の3点です。

  • ①答練・模試の母集団規模……短答式は相対試験。自分の現在地を正確に測れる仕組みに価値がある
  • ②質問対応と担任制……通信の最大の弱点は孤独。それを補う機能があるか
  • ③継続できる設計……2〜3年戦が前提。延長・再受講制度は保険として機能する

タイプ別・最短で結論が出る早見表

あなたの状況優先すべき条件候補になりやすい講座
大学生・学習時間を確保できる答練の母集団・教材の質・在学中合格の実績CPA会計学院、TAC、資格の大原
働きながら目指す社会人講義の細分化・担任制・長めの受講期間クレアール、スタディング、CPA会計学院
簿記1級・2級から進む既習範囲を飛ばせるコース設計CPA会計学院、クレアール(簿記合格者向けコース)
短答式に不合格だった再受験者答練中心・科目別の成績データ資格の大原、TAC、CPA会計学院
費用を最優先したい低価格帯+無料教材の併用スタディング、無料学習サービスとの組み合わせ

※一般的な傾向にもとづく整理です。講師との相性は個人差が大きいため、無料体験講義や資料請求で必ず確認することをおすすめします。

上位比較サイトの「合格者占有率ランキング」だけで決めてはいけない理由

検索するとほぼ必ず目にするのが、「合格者の3人に2人が○○出身」という数字です。この数字自体は公表情報にもとづくもので、事実です。

ただ、研究者として一言添えておきたいことがあります。

占有率は「合格者全体のうち、その講座の出身者が何%か」を示す指標です。これは合格率(受講者のうち何%が合格したか)とはまったく別の数字です。受講者数が多ければ、合格率が同じでも占有率は上がります。

もちろん、多くの合格者を出しているという事実には意味があります。教材の質や講師陣の充実を反映している面は確実にあるでしょう。ただ、「この講座を選べば同じ結果になる」ことを保証する数字ではない——この区別は持っておいてください。

詳しい読み方は後半の「合格者数・占有率をどう読むか」で解説します。

数字で見る公認会計士試験の現実

講座選びの判断基準は、すべて試験の構造から導かれます。少し遠回りに見えますが、ここを押さえると以降の判断が一気に楽になります。

令和7年試験の結果(願書22,056名/論文式合格1,636名/合格率7.4%)

公認会計士・監査審査会の公表資料によると、令和7年(2025年)試験の結果は次のとおりです。

項目人数
願書提出者数22,056名
短答式試験の合格者(第Ⅰ回・第Ⅱ回計)2,409名
論文式試験の受験者数4,665名(試験免除者を含む)
最終合格者数1,636名
合格率(願書提出者ベース)7.4%

合格者数は前年より増えて過去11年で最多となりましたが、願書提出者の増加がそれを上回ったため、合格率は低下しています。受験者が増えている、つまり競争は緩んでいないということです。

合格者の6割は学生・専修学校生、会社員はわずか5.4%というデータの意味

ここからが、他の比較記事がほとんど触れていない部分です。

公認会計士・監査審査会が公表している「令和7年公認会計士試験合格者調」で、合格者1,636名を職業別に見ると、次のようになっています。

職業区分合格者数構成比
学生905名55.3%
無職(受験に専念している人)395名24.1%
専修学校・各種学校受講生94名5.7%
会社員89名5.4%
会計事務所員67名4.1%
公務員23名1.4%
その他56名3.4%

※このほか、会計士補3名、教員2名、教育・学習支援者2名、税理士0名。合計1,636名。

学生と専修学校・各種学校受講生を合わせると999名、全体の約61%。さらに受験に専念している方(無職)を加えると、合格者の約85%が「学習に専念できる立場」の人ということになります。

また、合格者の平均年齢は24.6歳、30歳未満が全体の約89%を占めています。大学(短大含む)在学中の合格者は653名で、全体の約39.9%でした。

職業別の合格率が示す、本当の分かれ目

ここで、同じ資料からもう一つのデータを見てみましょう。職業別の合格率です。

職業区分出願者数合格者数合格率
学生9,400名905名9.6%
無職(受験専念)4,358名395名9.1%
会計事務所員835名67名8.0%
公務員718名23名3.2%
会社員3,544名89名2.5%
(全体)22,056名1,636名7.4%

この表は、非常に重要なことを教えてくれます。

学生(9.6%)と、受験に専念している人(9.1%)が、ほぼ同じ合格率なのです。両者は年齢層も経歴も違いますが、共通点が一つだけあります。学習に多くの時間を投じられることです。

一方、会社員の合格率は2.5%。全体平均7.4%の3分の1にとどまります。

このデータをどう読むか
若さや地頭が合否を決めているのなら、20代前半が中心の学生と、幅広い年齢層を含む「受験専念者」の合格率が、ここまで揃うことはないはずです。

つまりこの数字が示しているのは、合否を分けているのは能力ではなく、確保できる学習時間だということ。私が教育現場で感じてきたことと、公式データはきれいに一致します。

そして、これは働きながら目指す方にとって、むしろ希望のあるデータです。「自分には向いていないのでは」と悩む必要はありません。必要なのは、限られた時間を前提にした設計——具体的には、2年ではなく3年で組み、途中で止まらない仕組みを選ぶこと。この視点を持てるかどうかが、5.4%の中に入れるかどうかを分けます。

願書提出から論文式受験まで、なぜ4分の1以下に減るのか

もう一つ、注目していただきたい数字があります。

願書提出者は22,056名。それに対して、論文式試験を受けたのは4,665名です。約4分の1にまで減っています。

この差の大部分は、短答式試験の不合格と、受験そのものの見送りです。つまり——

この試験の最大の関門は、実は「合格すること」ではなく「走り続けること」

教育現場で見ていても、これは強く実感します。才能があっても途中で止まった人は合格できず、平凡でも続けた人が合格していく。会計士試験ほど、この傾向がはっきり出る試験を私は知りません。

だとすれば、講座選びの基準も自然に決まります。「最も優れた講座」ではなく「自分が2〜3年続けられる講座を選ぶべきなのです。

短答式は年2回・相対試験──「70%取れば受かる」ではない

公認会計士試験は、短答式(マークシート)論文式(記述)の2段階です。まず短答式に合格しないと、論文式には進めません。

短答式試験の構成

科目配点
財務会計論200点
管理会計論100点
監査論100点
企業法100点
合計500点

短答式は年2回(例年12月と5月)実施され、4科目の合計得点率で合否が決まります。ボーダーラインは例年70%前後とされますが、ここが重要なポイントです。

この70%という数字は、あらかじめ決まった絶対基準ではなく、その回の受験者の得点分布を見て設定されるものです。問題が難しい回はボーダーが下がり、易しい回は上がる。つまり実質的に相対評価です。

研究者としての一言
統計的に言えば、これは「分布の中での順位を競うゲーム」です。だとすれば、学習中に測るべき指標も「自分が何点取れたか」ではなく「同じ問題を解いた集団の中で何位にいたか」になります。この視点があるかないかで、答練や模試の使い方はまったく変わってきます。

なお、短答式に合格すると、その後2年間は短答式が免除されます(合格した回を含む3回分)。論文式に落ちても短答からやり直しにはならない、という設計です。この制度があるおかげで、長期戦が組み立てられます。

必要な勉強時間の目安が「2,500〜4,000時間」と幅を持つ理由

各予備校が示す目安を整理すると、おおむね次のようになります。

  • 一般的な目安:2,500〜4,000時間程度
  • 期間の目安:1.5年〜3年程度

「なぜこんなに幅があるのか」と戸惑う方が多いのですが、理由は明快です。

  1. 前提知識の差……簿記1級レベルの知識があるかどうかで、必要時間は数百時間単位で変わります
  2. 学習の質の差……理解しないまま演習量だけ積むと、時間だけが伸びます
  3. 算定方法の差……各社が自社受講生の実績をもとに出しているため、母集団が揃っていません

この数字は他人と比べるためのものではなく、自分の可処分時間から逆算するための材料として使ってください。

逆算の例(働きながらの場合)
・平日2時間 × 5日=10時間/週
・土日6時間 × 2日=12時間/週
→ 週22時間 × 52週 ≒ 年間約1,150時間

目安を3,000時間とするなら、2年半から3年かかる計算になります。ここまで具体化して初めて、「2年コース」と「3年コース」のどちらを選ぶべきかが判断できます。先に数えてから、コースを選んでください。

公認会計士の通信講座を比較する6つの軸

ここまでの試験の構造を踏まえると、「どの機能にお金を払うべきか」が見えてきます。

以下が公認会計士の資格スクールで検討すべき軸です。

①答練・模試の母集団規模

②財務会計論・管理会計論の講義設計

③質問対応と担任制

④論文式の選択科目への対応

⑤受講期間の延長・再受講制度

⑥実質コスト

①答練・模試の母集団規模──相対試験で最も効く投資

答練(答案練習)とは、本試験形式の問題を時間を計って解き、採点・解説を受ける演習のことです。会計士試験では、これが講座の価値の中心だと私は考えています。

理由は先ほど述べたとおり、短答式が集団の中での位置を競う試験だからです。独学の最大の弱点は、「自分が今どのくらいの位置にいるか」を知る手段がないことにあります。

確認したいポイント

  • 答練の回数と、本試験レベルの問題が何回分含まれるか
  • 成績処理(順位・平均点・科目別偏差値)が返ってくるか
  • 全国模試の受験者数(母集団が大きいほど位置の推定精度が上がる
  • 論文式の答練で、記述答案の添削が受けられるか

特に論文式は記述式なので、「書いたものを他人に読んでもらう」経験の有無が決定的です。ここは独学では埋めにくい部分になります。

②財務会計論・管理会計論の講義設計(合否を分ける2科目)

短答式500点のうち、財務会計論が200点、管理会計論が100点。この2科目で6割を占めます。

そして論文式でも、この2つは「会計学」として合わせて300点(全700点中)という最大の配点です。会計士試験の合否は、実質的にこの2科目で決まると言っても過言ではありません。

会計学を教える立場から見て、ここには重要な特徴があります。

計算科目こそ「理解」が効く
財務会計論・管理会計論は計算科目なので、「手を動かして慣れる」学習が有効だと思われがちです。実際、その面はあります。

ただ、会計士試験のレベルになると、パターン暗記では届きません。連結会計や企業結合のように処理が複雑な論点では、覚えるべきパターンが膨大になりすぎるからです。

一方、「なぜ連結修正が必要なのか」「のれんとは経済的に何なのか」を理解している人は、初見の出題形式でも自力で処理を組み立てられます。つまり、計算科目こそ理論的な理解が効く——これが教育現場で毎年感じることです。

確認したいポイント

  • 会計基準の「趣旨」から説明する講義か、結論の暗記に寄っているか
  • テキストに、処理の背景にある考え方の記述があるか
  • 無料体験で財務会計論のサンプル講義を視聴できるか

③質問対応と担任制──通信で「孤独」に負けないための機能

通信講座の最大の弱点は、教材の質ではありません。孤独です。

先ほど見たとおり、この試験では「走り続けられるか」が最大の関門でした。2〜3年間、誰とも進捗を共有せず、一人で走り続けるのは想像以上に難しいことです。

確認したいポイント

  • 質問の回数制限と返答までの時間(翌営業日か、数日かかるか)
  • 担任制・学習相談があるか(定期的に人と話す機会があるか)
  • 受講生同士のコミュニティやオンライン自習室があるか
  • 通学校舎への振替受講やスクーリングが可能か

教育者としての実感を一つ。伸びる学習者に共通するのは、わからない箇所を24時間以内に誰かに聞く習慣を持っていることです。逆に「あとでまとめて聞こう」とした疑問は、たいてい放置されます。質問のハードルの低さは、学力そのものより合否に効きます。

④論文式の選択科目(経営学・経済学・民法・統計学)への対応

ここは、他の比較記事がほぼ触れていない論点です。

論文式試験では、必須科目に加えて経営学・経済学・民法・統計学から1科目を選択します。この選択によって、必要な学習量が変わります。

選択科目一般的な傾向
経営学学習量が比較的少なく済むとされ、選択者が最も多い
経済学ミクロ・マクロの理解が必要。数学的な素養がある人に向く
民法範囲が広く学習量は多め。法学部出身者などに選ばれる
統計学範囲は狭いが、数学的な処理に慣れが必要

講座選びで確認したいのは、次の点です。

  • 選択科目の講義が受講料に含まれるか、追加料金か(実質コストが変わります)
  • 4科目すべてに対応しているか、経営学のみか
  • 選択科目にも答練が用意されているか

経営学以外を選びたい方は、対応状況を必ず申込前に確認してください。後から追加購入すると、想定外の出費になります。

⑤受講期間の延長・再受講制度──2〜3年戦を前提にした保険

短答式は年2回、論文式は年1回。この日程で2〜3年戦うことになるため、受講期間が足りなくなる可能性は決して低くありません

確認したいポイント

  • 受講期間(視聴期限)はいつまでか
  • 延長する場合の費用(無料か、割引価格か、全額か)
  • 延長時に最新年度の教材・答練が使えるか(法改正があるため重要)
  • 短答合格後、論文コースのみの追加受講が可能か

会計基準や法令は毎年のように改正されます。古い教材のまま2年目を戦うのは大きなリスクなので、この点は必ず確認してください。

⑥実質コスト(割引・給付制度・追加費用を差し引いた金額)

会計士講座は高額です。表示価格だけで比較すると判断を誤ります。

実質コスト = 受講料 -(各種割引)-(合格祝い金)-(給付制度)+(選択科目・答練の追加費用)+(延長費用の見込み)

項目内容注意点
教育訓練給付制度指定講座を修了すると受講料の一部が給付される国の制度対象講座・受給要件がある。学生は原則対象外(雇用保険の被保険者要件のため)
学割・大学生協割引学生向けの割引を設けている講座がある適用条件を要確認
再受講・再受験割引他校からの乗り換え割引を含む割引率は変動。期間限定が多い
合格祝い金・奨学金制度合格時の還元や、成績優秀者向けの制度条件を事前確認
追加費用選択科目、直前答練、全国模試などが別料金の場合がある総額で比較する

※制度内容・金額はいずれも変更されます。申込前に各社公式サイトおよびハローワークの案内をご確認ください。

公認会計士試験の通信講座の比較

ここからは主要6社を、前述の6軸に沿って整理します。どこが一番かではなく、どんな読者に向くかという形で書いています。

料金帯で見る全体像

価格帯目安特徴
低価格帯12万〜20万円台オンライン完結型。答練や個別サポートは限定的なことも
中価格帯30万〜55万円台講義+教材+答練が一式。担任制などのサポートつき
大手予備校帯60万〜80万円程度答練の母集団・教材の完成度・対面フォローが強み

※コース(1.5年/2年/短答のみ等)や受講形態によって大きく変動します。以下の金額は調査時点で確認できた代表例で、キャンペーン価格は含みません。正確な金額は必ず公式サイトでご確認ください。

公認会計士の主要通信講座を比較【料金・合格実績・サポート一覧】

ここからは主要6社を、前述の6軸に沿って整理します。どこが一番かではなく、どんな読者に向くかという形で書いています。

料金帯で見る全体像

価格帯目安特徴
低価格帯12万〜20万円台オンライン完結型。答練や個別サポートは限定的なことも
中価格帯30万〜55万円台講義+教材+答練が一式。担任制などのサポートつき
大手予備校帯60万〜80万円程度答練の母集団・教材の完成度・対面フォローが強み

※コース(1.5年/2年/短答のみ等)や受講形態によって大きく変動します。以下の金額は調査時点で確認できた代表例で、キャンペーン価格は含みません。正確な金額は必ず公式サイトでご確認ください。

【先に結論】重視するものが決まれば、候補は絞れる

個別の解説に入る前に、方向性を整理しておきます。

6社を「性格の違う3グループ」に分けて考えると、一気に見通しがよくなります。

グループ該当する講座特徴費用の目安
A:実績・答練重視型CPA会計学院資格の学校TAC資格の大原
教材の完成度と答練の母集団で戦う。合格実績を公表60万〜80万円
B:継続支援型クレアール範囲を絞り、担任制で走り続けさせる。社会人の長期戦を想定中価格帯
C:低コスト自走型スタディングLEC機能を絞って価格を抑える。学習設計は本人に委ねる12万〜数十万円

そのうえで、「何を最も重視するか」で向く講座が変わります。

あなたが最も重視するもの方向性理由(対応する軸)
合格実績と答練の母集団CPA会計学院近年の合格者数が業界最多。受講者が多いこと自体が母集団の大きさになる。
体系的なカリキュラム/受験日程からの逆算資格の学校TACコース選択の分岐が明確で、短答の受験回に合わせて選びやすい。
計算科目の演習量と質問しやすさ資格の大原常駐講師体制と計算重視のカリキュラム。合否を分ける2科目に厚い。
途中で止まらない仕組みクレアール担任制で定期的に人と話せる。社会人向けにプランが細分化。
必要な科目だけ柔軟に買いたいLEC短答・論文を段階的に受講でき、単科の追加購入がしやすい。
初期費用を抑えて始めたいスタディング最安値。スマホ完結で細切れ時間に対応。

2つの問いで、グループはほぼ決まります

迷ったときは、この順番で自問してみてください。

  1. 1日6時間以上を、学習に安定して投じられるか
    → Yesなら、グループA(実績・答練重視型):CPA会計学院資格の学校TAC資格の大原。時間を投じられる人が最も伸びるのは、演習量と母集団のある環境です。
    → No(働きながらなど)なら、グループB(クレアール)またはC(スタディングLEC)へ。
  2. 自分で学習計画を立て、ズレたら修正できるか
    → Yesなら、グループC(低コスト自走型:スタディングLEC)も十分に候補になります。浮いた数十万円を答練や模試の単体購入に回す設計も可能です。
    → No/自信がないなら、グループB(継続支援型:クレアール)。計画づくりを外部に任せられる価値は、価格差以上になり得ます。

教える立場からの補足
2つ目の問いを、多くの方が甘く見積もります。「計画くらい自分で立てられる」と思って低価格帯を選び、半年後に何をやっているかわからなくなる——このパターンを何度も見てきました。

前半で確認したとおり、この試験では願書提出から論文式受験まで4分の1以下に減ります。最大の関門は理解力ではなく継続です。「自分は計画づくりが得意ではない」と自覚できている方は、それ自体が強みです。その前提で講座を選べるからです。

この方向性を踏まえて、以下で各社を個別に見ていきます。

CPA会計学院|合格者占有率トップ、実績と教材の質を重視する人向け

料金の目安1.8年スタンダードコース(短答2回対応)通信 670,000円、2年スタンダードコース 通信 750,000円 など
合格実績2025年(令和7年)合格者1,092名合格者占有率66.7%(同校の集計対象は当該年度合格目標の本科コース受講者)
強み教材・講義の質への評価が高く、近年の合格者数で業界トップ。個別サポートや常駐講師体制も充実
留意点校舎数は限られるため、地方在住の方は通信が基本になる。価格は大手帯
向いている人合格実績と教材の質を最優先する人。答練の母集団規模を重視する人

2021年ごろから合格者数を大きく伸ばし、現在は合格者の3分の2を占めるまでになりました。答練の母集団という観点では、受講者が多いこと自体が機能になります。自分の順位が実際の本試験の順位に近づくからです。

なお、CPA会計学院では資料請求をすると入門テキスト・問題集と講義動画が無料で提供されるという案内があります。まず教材の相性を確かめたい方には、費用をかけずに判断材料を得られます。

TAC|長い歴史と全国展開、体系的なカリキュラムを求める人向け

料金の目安コースにより60万〜80万円程度(要確認)
合格実績2025年合格者313名(合格者全体の約19%)
強み50年以上の歴史と全国の校舎網。コース選択ガイドが整備され、「12月短答狙いか5月短答狙いか」といった分岐が明確
留意点コース選択を誤ると学習計画とズレが生じやすい
向いている人体系的なカリキュラムに沿って進めたい人。受験スケジュールから逆算して選びたい人

TACの持ち味は、「いつの試験を狙うか」から逆算してコースを選べる設計にあります。公認会計士試験の短答式は年2回(例年12月と5月)実施されるため、どちらを狙うかで学習の組み立てが大きく変わります。公式サイトには質問に答える形式のコース選択ガイドが用意されており、この分岐を最初に整理できるようになっています。

この「日程から入る」という考え方は、実は本記事の主張と一致しています。先に目標の試験回を決め、そこから逆算して計画を立てる——これができていないまま走り出すと、途中で何をやっているかわからなくなります。教える立場から見ても、この順序を守れる学習者は明らかに安定しています。

また、全国に校舎網があるため、通信で受講しながら必要なときだけ通学するという使い方もしやすくなります。一方で、コース選択を誤ると学習計画とのズレが生じやすいという裏返しの弱点もあります。申込前に、自分の可処分時間と目標試験回を必ず確定させておいてください。

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TACの口コミ・評判については以下の記事で詳しく解説しています。

資格の大原|常駐講師と計算科目対策、演習量を重ねたい人向け

料金の目安コースにより60万〜80万円程度(要確認)
強み講師が常駐し、質問しやすい環境。計算科目を徹底的に鍛えるカリキュラムという評価が定着している
留意点合格者数の公表基準が年度により異なるため、他社との単純比較には注意
向いている人財務会計論・管理会計論の演習量を重ねたい人。通学と通信を併用したい人

前述のとおり、短答式500点のうち財務会計論と管理会計論で300点を占め、論文式でも会計学として最大の配点になります。合否は計算科目で決まる——この構造を踏まえると、計算力を徹底的に鍛えるという大原の方向性は理にかなっています。

もう一つの特徴が、講師が校舎に常駐している点です。予約なしで質問できる環境は、通学生だけでなく通信生にとっても意味があります。前述の軸3で述べたとおり、わからない箇所を24時間以内に解消できるかどうかは、学力そのものより合否に効きます。

大原の資料請求はこちらから

資格の大原の公認会計士講座の評判については以下の記事で詳しく解説しています。

LEC|科目別受講の柔軟さ、費用を抑えつつ質を求める人向け

料金の目安中価格帯(コース・科目構成により変動。要確認)
強み短答・論文を段階的に受講できる設計。必要な科目だけ追加購入しやすい
留意点フルパッケージ以外を選ぶ場合、自分で学習設計を組む力が必要
向いている人すでに一部科目を学習済みの人。費用を抑えつつ、必要な部分だけ補強したい人

LECの位置づけは、大手3社とはやや異なります。フルパッケージを前提とせず、必要な部分だけを買い足せるという柔軟さが特徴です。短答対策と論文対策を段階的に受講できるため、「まず短答に集中し、合格したら論文コースを追加する」という組み立てが可能になります。

この設計が効くのは、次のような方です。

  • 簿記1級を取得済みで、財務会計論・管理会計論の基礎は固まっている
  • 他校で学習していたが、特定科目だけ立て直したい
  • 短答式に一度合格し、論文対策のみを追加したい

一方で、フルパッケージ以外を選ぶ場合は学習設計を自分で組む必要があります。何をいつまでに仕上げるかを判断できる方には費用対効果が高い選択ですが、そこに自信がない方は、カリキュラムが組まれた講座のほうが安全です。柔軟さは、使いこなせる人にとってだけ利点になる——ここは正直にお伝えしておきます。

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クレアール|非常識合格法と担任制、社会人の長期戦向け

料金の目安中価格帯(コース・キャンペーンにより大きく変動。要確認)
強み合格に必要な範囲に絞る学習設計。担任制により、メールや電話で相談しながら進められる。初学者向け・社会人向け・簿記合格者向けなどプランが細かく分かれている
留意点範囲を絞る設計のため、網羅的に学びたい人には物足りなく感じる場合がある
向いている人働きながら長期戦を見込む社会人。孤独に弱く、相談相手が欲しい人

前述のとおり、会社員の合格率は2.5%という厳しい数字でした。この数字が示していたのは能力差ではなく時間の差であり、だからこそ社会人に必要なのは「途中で止まらない仕組み」です。

クレアールの担任制は、まさにその機能にあたります。メールや電話で定期的に相談できる相手がいることは、2〜3年を一人で走り続ける通信学習において、価格差以上の価値になり得ます。前半で見たとおり、この試験では願書提出者の4分の3以上が論文式にたどり着きません。孤独への対策は、教材の質と同じくらい重要な投資です。

また、初学者向け・社会人向け・簿記合格者向けとプランが細かく分かれているのも実務的な利点です。簿記1級を持っている方は既習範囲を圧縮できるため、無駄な出費と時間を抑えられます。

留意点は、範囲を絞る設計であること。「合格に必要な範囲」に集中する方針なので、網羅的に学びたい方や、上位合格を狙いたい方には物足りなく感じる場合があります。また、キャンペーン価格の変動が大きいため、他社と比較する際は同じ時期の価格で突き合わせてください。

スタディング|低価格・スマホ完結、まず始めてみたい人向け

料金の目安124,800円(税込)〜 ※コースにより変動
強み教室を持たない運営でコストを抑え、大手予備校の数分の一という価格を実現。スマホ完結で細切れ時間を活用できる
留意点答練の母集団や個別サポートは大手に及ばない。自分で計画を立てて進める力が必要
向いている人まとまった時間が取れない人。まず低リスクで始めてみたい人

大手との価格差は、コースによっては数十万円になります。教室を持たない運営でコストを削り、その分を価格に反映させるという明快な設計です。

ただし、本記事の6軸に照らすと軸1(答練の母集団)と軸3(質問環境)は構造的に手薄になります。これは欠点というより設計思想の違いで、「その分をどう補うか」をセットで考えれば十分に選択肢になります。たとえば他校の全国模試だけを単体で受験し、位置の把握はそちらで行うという組み合わせです。

向いているのは、次のような方です。

  • まとまった時間が取れず、通勤時間などの細切れ時間で積み上げたい
  • 自分で計画を立て、ズレたら修正できる自信がある
  • いきなり70万円を投じるのが怖く、まず低リスクで始めたい

逆に、計画づくりに不安がある方が価格だけで選ぶと、途中で止まるリスクが高くなります。前述の「2つの問い」を、ここで一度思い出してください。数十万円の差額は魅力的ですが、走り切れなければ意味がありません。

各社の「合格者数・占有率」をどう読むか

ここは研究者として、どうしても丁寧に説明しておきたい部分です。

比較サイトで頻繁に見かける「合格者占有率66.7%」という数字。これは公表されている事実ですが、読み取りには次の注意が必要です。

  • 占有率 ≠ 合格率……占有率は「合格者全体に占める割合」。受講者数が多ければ、合格率が変わらなくても占有率は上がります
  • 分母(受講者数)が非公表……そのため、受講者の何%が合格したかは外部からは計算できません
  • 集計対象が限定されている……たとえば「当該年度合格目標の本科コース受講者」など、対象を絞って集計されるのが一般的です。単科受講者や途中離脱者は含まれません
  • 受講者の属性が異なる……在学中から専念できる学生が多い講座と、社会人が多い講座では、母集団の条件が違います
  • 集計基準が各社で異なる……年度の取り方も含め、単純比較はできません

これは「数字が信用できない」という話ではありません。多くの合格者を輩出しているという事実には確かな意味があります。ただ、その数字が答えているのは「どの講座に合格者が多いか」であって、「あなたが合格しやすいのはどこか」ではない——この区別が大事だということです。

判断の主軸は、前述の6軸に置いてください。

【タイプ別】あなたに合う公認会計士講座の選び方

大学生・時間を確保できる人(在学中合格を狙う場合)

学生の合格率が9.6%(全体平均7.4%)であることが示すとおり、大学生は構造的に最も有利な立場にいます。学習時間を確保でき、生活コストが低く、失敗しても再挑戦の余裕があるためです。

この層で優先すべきは次の3点です。

  1. 答練の母集団規模(実際の本試験に近い順位が出る)
  2. 教材の質と網羅性(長期的な理解の土台になる)
  3. 通学の可否(近くに校舎があるなら、環境として有利)

この層におすすめの講座

第一候補はCPA会計学院。合格実績と答練の母集団という、この層が最も重視すべき2点で優位性があります。次点は資格の学校TAC資格の大原で、全国に校舎があるため通学との併用がしやすいのが強みです。

迷ったら、複数社の資料を取り寄せて、財務会計論のサンプル講義を見比べるところから始めてください。2年間つきあう教材なので、相性は数字以上に重要です。

働きながら目指す社会人(合格率2.5%の現実とどう向き合うか)

厳しい数字をお伝えしましたが、不可能という意味ではありません。実際に89名の会社員が合格しています。

ただし、学生と同じ戦い方はできません。現実的な設計は次のとおりです。

  • 期間を2年ではなく3年で見込む。1日2〜3時間から逆算すれば、これが自然な結論です
  • 短答式に集中する年と、論文式に集中する年を分ける。短答合格の効力は2年間続くので、この設計が可能です
  • 担任制や学習相談がある講座を選ぶ。孤独が最大の敵になります
  • 受講期間の延長条件を必ず確認する。3年計画なら、標準の受講期間では足りない可能性があります

この層におすすめの講座

第一候補はクレアール。担任制と、社会人向け・簿記合格者向けに分かれたプラン設計が、この層の事情に合っています。実績と教材の質を優先するならCPA会計学院、まず低リスクで始めたいならスタディングという選び方になります。

判断に迷ったときは、「不合格でも次の年まで走り続けられる設計か」という問いで絞ってください。社会人にとって、これが最も効く基準です。

簿記1級・2級から会計士へ進む人

簿記の学習経験がある方は、財務会計論・管理会計論のスタート地点が有利です。特に1級合格者は、短答式の主要科目でかなりのアドバンテージを持っています。

この層が確認すべきは次の点です。

  • 簿記合格者向けのコースがあるか(既習範囲を圧縮できる)
  • 入門講義をスキップできるか、その分の割引があるか
  • 企業法・監査論・租税法といった未習科目の講義が充実しているか

簿記経験者がつまずきやすいのは、実は会計以外の科目です。企業法や監査論は法律・規範の科目で、簿記とはまったく異なる学習の型が必要になります。ここの講義設計を軽視しないでください。

短答式に不合格だった再受験者

再受験者に必要なのは、インプットのやり直しではなく「なぜ届かなかったか」の特定です。

  • 科目別の得点を見て、どの科目が足を引っ張ったかを切り分ける
  • 時間切れなら演習不足、知識の穴なら該当分野の集中補強
  • そのうえで、答練パック・上級コース・単科講座など必要な部分だけを購入する

フルコースを買い直すのは、多くの場合オーバースペックです。再受講割引や上級者向けコースを設けている講座が多いので、まず確認しましょう。

費用を最優先したい人(無料教材との併用設計)

受講料をできるだけ抑えたい方には、無料学習サービスと有料講座を組み合わせるという選択肢があります。

現在は、大手会計スクールが運営する無料の会計学習サービスがあり、簿記を中心に質の高い教材を無償で利用できます。会計士試験の土台となる簿記の学習を無料で進めることは十分に可能です。

ただし、会計士試験そのものについては、無料教材だけで完走するのは現実的ではありません。無料で基礎を固め、本試験対策は有料講座に切り替える——この二段構えが、費用対効果としては最も優れていると考えています。

会計士試験でつまずく人に共通する3つのパターン

ここからは、比較表には出てこない話です。会計を教える立場で長く観察してきた「つまずきの型」を共有します。講座選びの前にこれを知っておくと、選択の精度が上がります。

パターン1|計算科目を「解法の暗記」で乗り切ろうとする

最も多いパターンです。簿記3級・2級は出題パターンが安定しているため、解法を覚えれば得点できる面があります。この成功体験が、会計士試験では逆効果になります。

連結会計、企業結合、事業分離、税効果会計——会計士試験の論点は、覚えるべきパターンの数が膨大です。暗記で対応しようとすると、途中で確実に容量が足りなくなります。

一方、「なぜこの処理をするのか」を理解している人は、初見の出題形式でも自力で組み立てられます。会計基準には必ず考え方の筋が通っているので、そこを掴んでいれば個別処理は導けるのです。

伸びる人の共通点
処理を覚えたあと、必ず「なぜこの処理になるのか」を一言で説明できるところまで戻ります。説明できなければ理解できていないと判断し、その場で講師に聞く。これを習慣にしている学習者は、同じ学習時間でも到達点が明確に違います。

パターン2|インプットが終わらないまま答練期に入る

次に多いのが、講義の消化に時間をかけすぎて、演習に入るのが遅れるパターンです。

気持ちはよくわかります。理解が曖昧なまま問題を解くのは怖いですから。ただ、会計は手を動かして初めて理解が固まる科目です。理解度7割で演習に入り、解きながら残りの3割を埋めるほうが、結果的に速く仕上がります。

特に短答式は時間との戦いです。知識があっても、時間内に処理できなければ得点になりません。演習を後回しにすると、この訓練が間に合わなくなります。

パターン3|短答対策に偏り、論文式の理論が間に合わない

これは会計士試験に特有のつまずきです。

短答式はマークシートなので、「選択肢を絞る力」でもある程度対応できます。ところが論文式は記述式で、自分の言葉で理由を書けなければ点になりません

短答合格後の数か月で論文対策を詰め込もうとして間に合わない——このパターンを、私は何度も見てきました。

対策はシンプルで、短答対策の段階から「理由を説明する」練習を並行しておくことです。処理を覚えるたびに理由を一言で言えるようにしておけば、それがそのまま論文式の答案の骨格になります。

講座選びでこの3つをどう予防するか

つまずき予防につながる講座の機能
暗記依存会計基準の趣旨から説明する講義/深い返答が返る質問制度
演習開始の遅れ答練の日程が組まれたカリキュラム/学習フローの提示
論文対策の遅れ記述答案の添削がある答練/論文式の理論教材

こうして並べると、価格の安さより「自分の弱点が可視化される仕組み」にお金を払う意味が見えてくるのではないでしょうか。

公認会計士は独学でも合格できるのか

独学が現実的に難しい3つの理由

公認会計士試験に受験資格の制限はなく、独学を禁じる制度もありません。ただ、現実的なハードルは簿記1級などとは比較になりません。

  1. 市販教材が限られる……試験範囲を網羅した市販書籍は少なく、予備校教材が事実上の標準になっています
  2. 答練がない=位置がわからない……相対試験なので、これは致命的な弱点になります
  3. 法改正・基準改正への対応……会計基準や法令は毎年のように変わります。改正情報を自力で追い続ける負担は相当なものです

加えて、論文式の答案作成訓練は、添削者なしには成立しにくいという問題があります。自分の答案が採点者にどう読まれるかは、自分では判断できないからです。

無料教材・市販テキストでどこまで進められるか

現実的な線引きをお伝えします。

  • 簿記3級〜1級レベル……無料教材・市販教材で十分に到達可能
  • 会計士試験の入門〜基礎期……教材次第で一部は可能
  • 本試験レベルの演習・論文対策……独学では極めて困難

つまり、「無料で始めて適性を確かめる」ことはできても、「無料で合格まで走り切る」のは現実的ではないということです。

「独学+答練パック」というハイブリッドは成立するか

簿記1級であれば、この折衷案はかなり有効です。ただ会計士試験では、成立しにくいというのが正直なところです。

理由は、答練が講座のカリキュラムと一体で設計されているためです。単体販売されていないことが多く、仮に入手できても、講義と切り離すと解説の前提知識が不足しがちです。

したがって現実的な進め方は、次のようになります。

  1. まず簿記を無料教材で学ぶ(会計への適性と、継続できるかを確かめる)
  2. 簿記2級〜1級レベルまで進めて、手応えを確認する
  3. そのうえで、会計士講座に本格投資するかを判断する

いきなり70万円の講座に申し込むより、この順序のほうが失敗が少ないと私は考えています。

簿記から会計士へ──どの順番で進むのが効率的か

会計ラボの読者には、簿記を学んでから会計士を検討し始めた方が多くいらっしゃいます。

ここではその判断を整理します。

簿記2級・1級と会計士試験の範囲はどこまで重なるか

簿記の級会計士試験との重なり
簿記3級会計の基礎概念。土台として有用だが、直接的な重複は限定的
簿記2級商業簿記・工業簿記の基本。財務会計論・管理会計論の入口と重なる
簿記1級連結会計、企業結合、意思決定会計など。財務会計論・管理会計論とかなりの部分が重複

特に1級の会計学で扱う理論は、論文式の会計学と考え方の筋が共通しています。1級をしっかり理解して合格した人は、会計士試験の主要科目でかなり有利なスタートを切れます。

1級を先に取るメリットとデメリット

メリット

  • 会計士試験への適性を、低コストで確認できる
  • 就職活動や転職で使える資格が先に手に入る
  • 税理士試験の受験資格にもなるため、進路の選択肢が広がる
  • 撤退する場合でも、手元に何かが残る

デメリット

  • 1級合格に半年〜1.5年かかるため、会計士合格までの総期間が延びる
  • 1級と会計士では出題の深さが違うため、学び直しが必要な部分もある
  • 1級の受験機会は年2回のみで、日程に縛られる

簿記を経由せず会計士講座から入るという選択

会計士講座には初学者向けコースがあり、簿記の知識がなくても入れる設計になっています。最短で合格を目指すなら、こちらのほうが総時間は短くなります

判断の目安は次のとおりです。

簿記を経由したほうがよい人
・会計士を目指すかまだ迷っている
・会計そのものへの適性を確かめたい
・撤退リスクを下げたい(何かを手元に残したい)
・働きながらで、まず小さく始めたい

会計士講座から入ってよい人
・会計士になる意思が固まっている
・在学中合格など、期限が決まっている
・すでに簿記2級程度の知識がある

どちらが正解ということはありません。ただ、「迷ったまま会計士講座に70万円を投じる」のは避けたほうがいい——これは教える立場からの実感です。まず簿記で適性を確かめる期間を持つほうが、結果的に無駄が少なくなります。

受講開始から合格までの学習スケジュール例

2年コース(初学者・学生)の標準的な流れ

時期やること
1〜8か月目財務会計論・管理会計論のインプット。並行して企業法・監査論にも着手
9〜14か月目短答4科目のインプット完了。答練で演習を回す
15〜18か月目短答式試験(1回目)。合格すればそのまま論文対策へ
19〜21か月目租税法・選択科目のインプット。論文答練で記述訓練
22〜24か月目論文式試験。直前期は答案作成の反復

1.5年コース(短期集中)が成立する条件

1日8時間以上を安定して確保できることが前提です。実質的に学習専念できる方向けで、働きながら選ぶと高い確率で破綻します。簿記1級レベルの知識がある方であれば、現実味は上がります。

働きながらの3年計画という現実解

社会人にとって、私が最も現実的だと考えるのはこの形です。

  • 1年目……財務会計論・管理会計論を中心にインプット。無理に受験しない
  • 2年目……短答4科目を仕上げ、短答式合格を目標にする
  • 3年目……短答免除の期間を活かし、論文式に集中する

短答合格の効力が2年間続くという制度を、正面から使う設計です。1年で全部を終わらせようとしないことが、かえって合格への近道になります。

短答式合格から論文式までの数か月をどう使うか

  • 租税法・選択科目に集中投下……短答で扱わない科目なので、ここが最優先
  • 答案を「書く」訓練に切り替える……読んでわかるのと書けるのは別物です
  • 添削を必ず受ける……自分の答案の伝わり方は、自分では判断できません
  • 会計学の理論を言語化する……短答期に理解を積んでいれば、ここで効いてきます

合格後のリアル|公認会計士になるまでの道のり

論文式合格=公認会計士ではない(実務経験・実務補習・修了考査)

意外と知られていないのですが、論文式試験に合格しただけでは公認会計士を名乗れません。登録には、次の要件をすべて満たす必要があります。

要件内容
①試験合格公認会計士試験(論文式)の合格
②実務経験業務補助または実務従事が通算3年以上(2023年4月施行の改正により、従来の2年以上から延長。経過措置あり)
③実務補習会計教育研修機構での研修。3年間で所定の単位取得が必要
④修了考査日本公認会計士協会が実施。年1回

つまり、試験合格からさらに3年前後をかけて、ようやく公認会計士として登録できるという道のりです。多くの方は監査法人で働きながら、この要件を満たしていきます。

※要件の詳細や経過措置の適用は個別事情により異なります。正確な情報は日本公認会計士協会の公式案内をご確認ください。

監査法人への就職と、その先のキャリアの広がり

論文式合格者の多くは監査法人に就職します。その後のキャリアは多様で、監査法人に残る道のほか、事業会社の経理・財務、コンサルティング、独立開業、金融機関など幅広い選択肢があります。

※資格取得によって特定の就職や年収が保証されるものではありません。実務経験や専門性の積み方によって、キャリアの形は大きく変わります。

会計士試験の学習が「会計を読む力」に変わる瞬間

最後に、教える立場から一つだけ。

会計士試験の学習で本当に価値があるのは、資格そのものよりも「この数字はどうやって作られたのか」が見えるようになることだと私は考えています。

財務会計論を深く学ぶと、企業の決算書を見たときに「この利益は本物か」「どこに経営者の裁量が入っているか」が読めるようになります。会計基準の趣旨を理解しているからこそ、その運用のされ方まで見えてくるのです。

この数字の裏側を読む力は、監査でも経営でも投資でも、一生使える資産になります。いま目の前の論点が苦しくても、それは確実にその力に変わっていきます。

公認会計士の通信講座に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 公認会計士の通信講座はいくらくらいかかりますか?

調査時点では、低価格帯のオンライン講座が12万円台から、大手予備校の通信コースが60万〜80万円程度と大きな幅があります。選択科目の講義や答練が別料金の場合もあるため、表示価格ではなく総額(実質コスト)で比較することをおすすめします。料金は改定されますので、必ず各社公式サイトで最新情報をご確認ください。

Q2. 公認会計士試験の合格率はどのくらいですか?

令和7年(2025年)試験では、願書提出者22,056名に対し最終合格者は1,636名で、合格率は7.4%でした。合格者数は前年より増加していますが、願書提出者の増加がそれを上回ったため合格率は低下しています。最新の数値は公認会計士・監査審査会の公表資料をご確認ください。

Q3. 働きながら公認会計士を目指せますか?

可能ですが、令和7年試験の職業別合格率を見ると、会社員は2.5%(出願3,544名中89名合格)にとどまります。一方で学生は9.6%、受験に専念している方は9.1%とほぼ同水準です。年齢層の異なる両者が揃うことから、差を生んでいるのは能力ではなく確保できる学習時間だと考えられます。働きながら目指す場合は2年ではなく3年前後を見込み、短答式の免除期間を活かした設計にすることをおすすめします。

Q4. 公認会計士は独学でも合格できますか?

制度上の制限はありませんが、現実的には難易度が高くなります。試験範囲を網羅した市販教材が少ないこと、相対試験のため自分の位置を測る答練が不可欠なこと、論文式の答案作成には添削が必要なことが主な理由です。無料教材で簿記の土台を作り、そこから講座に切り替えるという進め方が現実的です。

Q5. 簿記1級を取ってから公認会計士を目指したほうがよいですか?

必須ではありません。簿記1級の学習内容は会計士試験の財務会計論・管理会計論と重なる部分が大きく、会計士講座の中で同水準の内容を学ぶことも可能です。一方、1級を先に取ることで適性を測れる、就職活動で使える、撤退時にも資格が残るといった利点もあります。意思が固まっているなら直接、迷っているなら簿記経由が一つの目安です。

まとめ|合格実績の数字より、自分が2年間続けられる環境を選ぶ

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 令和7年試験は願書22,056名・最終合格1,636名・合格率7.4%。願書から論文式受験まで4分の1以下に減る
  • つまり最大の関門は「合格すること」ではなく「走り続けること」
  • 職業別合格率は学生9.6%・受験専念者9.1%に対し、会社員は2.5%。差を生むのは能力ではなく学習時間。社会人は3年計画で設計するのが現実的
  • 短答式は相対試験。答練の母集団規模が最も効く投資になる
  • 合否は財務会計論・管理会計論で決まる。計算科目こそ理解が効く
  • 合格者占有率は合格率ではない。分母と集計対象を確認して読む
  • 迷っているなら、まず簿記で適性を確かめてから投資を判断する

公認会計士試験は、たしかに難しい試験です。でも、「才能がないから無理」という種類の難しさではありません。正しい順序で、続けられる仕組みの中で積み上げれば届く——教える立場から見て、これは間違いなく言えることです。

まずは自分の1週間の可処分時間を実際に数えてみるところから始めてください。そこが決まれば、選ぶべきコースも講座もかなり絞られます。

グループ該当する講座特徴費用の目安
A:実績・答練重視型CPA会計学院資格の学校TAC資格の大原
教材の完成度と答練の母集団で戦う。合格実績を公表60万〜80万円
B:継続支援型クレアール範囲を絞り、担任制で走り続けさせる。社会人の長期戦を想定中価格帯
C:低コスト自走型スタディングLEC機能を絞って価格を抑える。学習設計は本人に委ねる12万〜数十万円
あなたが最も重視するもの方向性理由(対応する軸)
合格実績と答練の母集団CPA会計学院近年の合格者数が業界最多。受講者が多いこと自体が母集団の大きさになる。
体系的なカリキュラム/受験日程からの逆算資格の学校TACコース選択の分岐が明確で、短答の受験回に合わせて選びやすい。
計算科目の演習量と質問しやすさ資格の大原常駐講師体制と計算重視のカリキュラム。合否を分ける2科目に厚い。
途中で止まらない仕組みクレアール担任制で定期的に人と話せる。社会人向けにプランが細分化。
必要な科目だけ柔軟に買いたいLEC短答・論文を段階的に受講でき、単科の追加購入がしやすい。
初期費用を抑えて始めたいスタディング最安値。スマホ完結で細切れ時間に対応。

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