簿記は必要なくなるから、勉強する必要はないと聞きます。
それは本当ですか?簿記の仕事は将来必要なくなるのですか?
こんな疑問をお持ちの方はたくさんいらっしゃると思います。
簿記は必要なくなるという主張の背景にはAIの発展があります。
でも本当に簿記は将来必要なくなるのでしょうか?
私は年間300人の大学生に簿記と会計学を教えている大学教員です。
この記事では簿記が将来必要ないといえるのか徹底解説します。
記事の執筆者
・年間300人以上の大学生に簿記を教える大学教員。
・日本人の会計リテラシーを高めるを理念に、会計ラボを運営中。
結論
この記事は以下のyoutube動画でも解説しています。
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簿記が将来必要なくなるといわれる理由4選
簿記が必要なくなるといわれる理由は以下の通りです。
簿記がビジネスで役立たないといわれる理由については以下の記事で紹介しています。
簿記が必要なくなる理由①AIによって業務が自動化される
簿記が必要なくなるといわれる最大の理由は、ある論文の結果にあります。
それは、2017年にオックスフォード大学のFrey先生とOsborn先生が公表した論文の調査結果です。
Frey and Osborn(2017)は、経理や監査人の仕事は将来AIに代替される可能性が非常に高いことを明らかにしました。
論文内容を要約すると次の通りです。
出所 Frey C. B. & Osborne, M. A. 2017. The future of employment: How susceptible are jobs to computerisation? Technological Forecasting & Social Change 114: 254-280.
AIの発展によって経理が自動化されれば、確かに簿記を勉強する意味がなくなるかもしれません。
簿記が必要なくなる理由②会計ソフトやアプリが発展
会計ソフトは従来から利用されてきましたが、急速に精度が向上し経理業務の効率化が進展しています。
近年ではfreeeなどを代表とする安価なクラウド会計ソフトが普及して、利便性が向上しています。
MM総研が従業員300人以下の中小企業8,851社を対象にした2017年の調査結果によると、会計ソフトを導入している中小企業は54.1%となっています。
大企業の調査結果はないですが、大企業ではほぼ全ての企業が会計ソフトを導入していると考えられます。
個人でも簡単に利用できるアプリなどが普及しており、個人事業主でも会計ソフトを利用する人が増えています。
このように会計ソフトが発展すると経理業務が効率化され、経理が必要なくなると考えられています。
簿記が必要なくなる理由③ペーパレス化が進展
近年はファイルの電子化が進み、文書管理も効率化しています。
以前は膨大な書類をファイリングしたり、保管することが経理の重要な仕事としてありました。
しかし、ペーパレス化が進むことでそうした仕事が必要なくなっています。
これが簿記の必要性がなくなっている理由の1つです。
簿記が必要なくなる理由④財務情報の有用性が低下している
簿記の目的の1つは、財務諸表(損益計算書と貸借対照表)を作成し、投資家などに株式売買に役立つ情報を提供することにあります。
しかし、その財務諸表が株式売買に役立たなくなっているといった指摘が多くあります(Lev and Gu, 2016)。
ニューヨーク大学のレブ教授とニューヨーク州立大学バッファロー校のグー教授は『会計の再生』という書籍で、財務諸表が株価説明力を年々失っていることを明らかにしています。
その理由は以下の通りです。
①無形資産投資が増えている(研究開発など)
②財務諸表に記録されない取引の重要性が高まっている
③会計上の見積りが増加している
レブ教授とグー教授は現在の会計の限界があることを指摘しており、新たな情報開示を提案しています。
この研究結果は、簿記の必要性が低下していることを示しています。
簿記は本当に必要なくなるのか?
先ほど、簿記の必要性がなくなっている理由について紹介しました。
しかし、本当に簿記は必要なくなるといって良いのでしょうか?
結論からいうと、簿記が必要なくなるということは無いと考えられます。
簿記が必要なくならない理由①財務諸表には判断が必要になる
簿記によって作成される財務諸表は経営者の判断や見積もりが必要になります。
AIや会計ソフトは会計処理ができたとしても、適切に判断することや見積もりを行うことは難しいです。
また、近年は国際財務報告基準(IFRS)の影響もあり、判断を要する基準が多く導入されています。
AIによって会計処理などの業務効率化は進みますが、人間の判断が必ず必要となります。
柔軟な対応をできる会計人材が企業に求められています。
簿記が必要なくならない理由②経済社会に根付いている
複式簿記は14世紀ころのイタリア商人によって考案されたといわれています。
1494年にイタリアの数学者であるルカ・パチョーリが『算術・幾何・比および比例総覧』(スンマ)で世界で初めて簿記を記した書物として発行されました。
それから、この複式簿記が世界中に広がり、現行の簿記となっています。
このように約700年もの歴史があり、現在では当たり前のように経済社会に根付いています。
ドイツの文豪ゲーテが「複式簿記は人類最高の発明の1つ」と記しているように、完成された技術として現在も利用され続けています。
簿記の発展はあっても、簿記がなくなるということは経済社会が続く限り無いといって良いかと思います。
簿記が必要なくならない理由③簿記は重要な1次情報をつくる
簿記で作成される財務情報は、多くの投資家や銀行などによって利用されています。
財務情報の有用性が低下していることを主張する研究者もいますが、それでも簿記で生成される財務情報は唯一無二のものになっています。
もし簿記がなくなって財務情報が得られない場合、経済は大混乱に陥ってしまうでしょう。
なぜなら、会社の業績を判断するモノサシがなくなってしまうからです。
どの会社が良いかを判断するときに、財務情報の1次情報が得られない世界では投資が集まらない可能性が高いでしょう。
そのため、簿記が必要なくなるということはないと考えられます。
これから必要とされる会計人とは
しかしながら、AI化が進み経理の効率化は進むでしょう。
その結果、単純作業をしている会計人は必要となくなる可能性は高いです。
そのため、単純作業しかしていない会計人は今後淘汰されていくでしょう。
これから必要とされる会計人はコミュニケーション・ツールとして簿記を使える人材です。
会計は事業の言語と呼ばれ、ビジネスのコミュニケーション手段として重宝されています。
ただ簿記ができるだけでなく、それを自分の知識として有効活用できる力(会計リテラシー)が今後必要となってくるでしょう。
簿記を学習するメリットについては以下の記事で詳しく解説しています。
簿記は必要なくなるのか|まとめ
簿記を使う経理業務はAIや会計ソフトにより作業効率が劇的に向上します。
そのため、単純作業の経理業務は淘汰される可能性があります。
しかしながら、簿記自体は今後も残り続けます。
今後、簿記資格者は簿記で得た知識を有効活用する会計リテラシーを身に着ける必要があるでしょう。
会計リテラシーのある人材は競争が激化するビジネス会では必須の人材です。
簿記を初めて勉強する人は、まずは日商簿記検定3級を学習しましょう!
簿記3級の効果的な学習方法は以下の記事で詳しく解説しています。
お金を払わずに簿記3級に合格できる方法、知りたくないですか?
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無料フルカラーテキスト(全395ページ)、問題集(全326ページ)、解説動画(全12回)がもらえるのはCPA会計学院だけ!
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