簿記3級に落ちてしまった——。
簿記3級は資格試験の中でも比較的難易度が低い試験です。
会計の仕事に従「簡単な試験のはずなのに」「みんな受かってるのに自分だけ」と感じて、気持ちが落ち込んでいませんか。
大学で会計学を教えていると、毎年この時期に同じ悩みを抱えた学生が相談に来ます。そして全員に同じことを伝えています。簿記3級に落ちることは、全く恥ずかしくありません。理由はデータを見ればすぐわかります。
この記事では、
①なぜ不合格が恥ずかしくないのかをデータで示し、
②不合格になった本当の原因、
③次回で確実に合格するための対策、の3点を解説します。
読み終わるころには、前向きに再挑戦できるはずです。
- 簿記3級の不合格が恥ずかしくない、データに基づく3つの理由
- 指導現場でよく見る「不合格になった原因」5パターン
- 不合格後に次回合格するための具体的な4ステップ
記事の執筆者

・年間300人以上の大学生に簿記を教える大学教員。
・日本人の会計リテラシーを高めるを理念に、会計ラボを運営中。
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簿記3級の不合格は恥ずかしくない——3つの根拠

「簿記3級は簡単」というイメージはどこから来るのでしょうか。
資格サイトでは偏差値45前後と紹介されることが多く、「誰でも受かる」という言葉がSNSに流れてきます。
しかしこれは合格した人の声が目立つ「生存者バイアス」の影響が大きいです。
落ちた人はわざわざ発信しないため、難しさが過小評価されやすい試験です。
簿記3級の合格率は約40%、2人に1人が落ちる
簿記3級の合格率は、約40%と半分以上の人が落ちる試験です。
試験によっては合格率が低い回もあるため、たまたま難しい試験に当たったという可能性もあります。
しっかり対策しなければ落ちる試験です。そのため、不合格でも恥ずかしくはありません。
簿記3級の合格率推移
172回(2026年2月) 33.6%
171回(2025年11月) 34.5%
170回(2025年6月) 42.4%
169回(2025年2月) 28.7%
出所 商工会議所HP「3級受験者データ(統一試験)」
初学者にとっては簿記3級は難しい

会計を初めて学ぶ方にとっては難しい試験だと言えます。
簿記は暗記科目ではなく、取引の「流れを読む力」が必要な試験です。
- 期中の仕訳 → 総勘定元帳への転記 → 決算整理 → 財務諸表作成
この一巡の流れを体で覚えるには、ある程度の演習量が必要です。
勉強時間の目安は100時間程度と言われています(詳細:簿記3級に必要な勉強時間)。
社会人が働きながらこの時間を確保するのは容易ではありません。。
🎓 指導現場から
大学で簿記を教えていて気づくのは、「仕訳は頭でわかっても手が動かない」段階が必ずある、ということです。借方・貸方の概念は会計特有の思考様式で、日常生活に類似する経験がありません。初めて学ぶ人が「難しい」と感じるのは当然であり、理解力や頭の良し悪しとは関係がありません。
「簡単」という情報は上位資格との相対評価
「3級は簡単」という評価は、簿記1級や税理士試験・公認会計士試験といった難関資格と比べてのことです。ゼロから簿記を学ぶ人にとって「簡単」な試験ではありません。適切な準備なしに落ちるのは当然と言えます。
✅ ここまでのポイント
・合格率は平均40%前後、回によっては30%を切る
・初学者に難しい「仕訳の壁」は誰でも経験する
・「簡単」は難関資格との比較。絶対評価ではない
これらを踏まえると、不合格は恥ずかしいことではなく、準備が不十分だっただけです。原因を特定して対策すれば、次回は必ず変わります。
教える側が見た「不合格になる原因」5パターン
不合格の悔しさを次に活かすために、まず原因を特定しましょう。
学生の答案や相談を見ていると、不合格になるパターンはほぼ5種類に絞られます。
- 勉強時間が圧倒的に不足している
- 簿記の「全体の流れ」が見えていない
- 計算ミス・転記ミスが多い
- 時間配分を考えていない
- 問題を解く順番を知らない
勉強時間が圧倒的に不足している

勉強時間が圧倒的に不足しているが最も多い原因です。
「100時間」という目安に対して、30〜40時間で受験してしまうケースがよくあります。
🎓 指導現場から
試験直前に「勉強時間が全然足りていない」と気づく学生は毎年います。「簡単だから少しやれば受かる」という思い込みが、この罠にはまらせます。100時間はあくまで目安ですが、それに満たない状態で受験するのはリスクが高いです。
社会人の場合、1日1〜1.5時間の勉強で3ヶ月かけて到達する時間です。余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
簿記の「全体の流れ」が見えていない
個別の仕訳は覚えているのに点数が伸びない人に多い原因です。簿記は各手続きがつながっています。
| 手続き | 内容 |
|---|---|
| ①期中の仕訳 | 取引の都度、借方・貸方に記録 |
| ②総勘定元帳への転記 | 仕訳帳の内容を科目別に集計 |
| ③決算整理仕訳 | 期末に収益・費用を確定させる調整 |
| ④財務諸表の作成 | 損益計算書・貸借対照表を完成させる |
「今勉強している内容が、この流れのどこにあたるのか」を常に意識することが理解を深める近道です(参考:簿記がわからない理由と対処法)。
そのため、勉強を再開する前に「自分が勉強している内容は簿記におけるどこの手続きに当たるのか」をしっかりと確認する必要があります。
計算ミス・転記ミスが多い

理解度は十分でも、ミスで失点するパターンです。特に以下の2つが多いです。
- 問題文を読み飛ばして仕訳が不完全になる
- 電卓操作に慣れておらず計算ミスが重なる
電卓は試験本番で初めて使うのではなく、普段の演習から使い続けることが必須です。
本番では電卓操作自体に意識を取られている余裕はありません。
制限時間以内に解ききれない
制限時間以内に問題を解ききれないと合格は難しいです。
簿記3級に合格点するためには100点満点中70点を取得しなければなりません。
そして、試験は大問3つで構成されているため満遍なく得点が取れないと70点には届かないのです。
また、最初の大問1と大問3で満点をとって、第2問目は捨てるという戦い方も考えられますが、初学者の方は完答できたと思っていてもミスが発生している可能性があります。
そのため、もしミスが発生していた場合は確実に不合格となってしまいます。
したがって、制限時間以内に問題を解き切る訓練をする必要があるでしょう。
簿記3級の試験の出題傾向と対策方法は以下の記事で解説しています。
解く順番を戦略的に考えていない
簿記3級の問題は第1問、第2問、第3問の3問構成です。
問題傾向は一貫しているので、事前に問題構成と配点を知って戦略的に解くのが重要です。
第1問:仕訳問題15問(45点)
第2問:帳簿・勘定記入・伝票問題(20点)
第3問:決算問題(35点)
配点をみると第1問(仕訳問題)が45点と一番高いです。
また仕訳は簿記の基礎になるので、第1問を丁寧に確実に解くことが重要です。
次に配点が高いのは、第3問の決算問題で35点。
合格は70点以上になるので、仕訳問題と決算問題を90%取れると合格になります。
第2問は20点ですが、試験範囲が広く対策が難しい問題です。
上記を踏まえると問題を解く順番は、第1問→第3問→第2問が合格するための戦略的な解き方といえます。
問題構成や配点を知らず、何も考えずに本試験に挑むと不合格なんてことがありえます。
不合格になった人が合格するためにやるべきこと4選

不合格になってしまった原因を知ったら次は具体的な対策に移りましょう。
ここでは不合格後にやるべきことを4つに分けて解説していくため、ぜひ参考にしてください。
- 不合格になった原因を理解する
- 次の受験までのスケジュールを立てる
- 演習量を増やす
- 通信講座を利用してみる
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不合格になった原因を理解する
まずは自分が不合格になってしまった原因を理解しましょう。
基本的には先ほど紹介した原因の中のどれかに該当するはずです。
不合格の原因は人によって異なってくるため、上記の原因を参考にしながら不合格の原因を特定していきましょう。
次の受験までのスケジュールを立てる
不合格の原因を探ると同時に次の受験までのスケジュールを立てましょう。
次の受験日やそれまでの日数を確認して受験までにやるべきことを1つ1つ決めていくことがポイントです。
なお、スケジュールは1週間単位で設定していきましょう。
やるべきことを細分化して課題を丁寧にクリアにしていくと実力が効率的にアップします。
また、ネット試験を受験するのも1つの手です。
ネット試験は試験日を自由に選択できるため、次のペーパー試験まで待つ必要がありません。
ただネット試験の注意点もあるので、事前に受験しても問題ないか確認しておきましょう。
演習量を増やす
演習量を増やすのも非常に大切です。
不合格の背景には学習不足や演習量不足があります。不合格の原因に合わせて演習への取り組み方は異なってきますが、いずれにせよ多くの問題をこなすという作業は必要になってきます。
また、演習を行う際には過去問や予想問題集を利用するようにしましょう。
本番と同じ形式の問題を繰り返し解くと合格に必要な力が身に付いていきます。
なお、演習を行なったらその後に復習を必ずしましょう。
間違えた問題を復習せずに放置してしまうと演習量を増やしても似たような問題で再度つまずいてしまいます。量をこなしながらも丁寧さを忘れないというのが大切です。
通信講座を利用してみる
独学での対応が困難だと判断した場合には通信講座を利用してみましょう。
通信講座では映像授業で理解できなかった部分の確認が可能です。
また、講座についてくる問題集の解説なども聞くことができるため、分からなかった部分をすぐに理解できるようになるでしょう。
さらに、映像授業だけでなく講師に直接質問ができるため学習サポートは万全と言えます。
このように学習者が効率的に勉強を進められるような体制が整っているため、学習開始から最短1ヶ月で簿記3級に合格してしまう方もいます。
よくある質問(FAQ)

Q1. 簿記3級に何度も落ちるのは頭が悪いから?
A. 頭の良し悪しは関係ありません。仕訳の概念は日常生活に存在しない思考様式であり、誰でも最初は戸惑います。何度も落ちている場合は「勉強方法自体の問題」である可能性が高いです。テキストを読むだけでなく、問題演習を増やし、間違えた問題を徹底的に復習する方法に切り替えてみてください。
Q2. 簿記3級に落ちたら履歴書に書けない?
A. 不合格であれば履歴書には記載しません。ただし「現在勉強中」と書くことは問題ありません。特に経理・事務職への転職を目指している場合、「学習に取り組んでいる姿勢」は採用担当者に好印象を与えることがあります。不合格の事実は隠す必要はなく、再挑戦している行動力をアピールできます。
Q3. 不合格から次の試験まで何ヶ月必要?
A. 不合格の原因によりますが、勉強時間不足が主因であれば1〜3ヶ月で十分です。理解度の問題がある場合は、3〜4ヶ月かけて基礎から再構築する方が確実です。ネット試験を使えば試験日を自由に設定できるため、「準備ができたら受験する」スケジュールが立てやすいです。
Q4. 合格率が低い回にたまたま当たったら損では?
A. 統一試験は回によって難易度がブレます。不運なケースは確かにあります。ネット試験は問題のばらつきが比較的少なく、安定した難易度で受験しやすい環境です。次回受験の形式選びの参考にしてください(ネット試験とペーパー試験の違い)。
Q5. 独学が難しい場合、どんな通信講座がおすすめ?
A. 費用を抑えたい場合はCPA会計学院の無料教材から始めるのが最善です。よりサポートが充実した環境を求める場合は、映像授業と質問制度が揃った有料通信講座も選択肢に入ります(おすすめ通信講座を比較する)。
Q6. 第2問は捨てても合格できる?
A. 第2問(20点)を完全に捨て、第1問と第3問で80点分を取る戦略は理論上成立します。ただし初学者の場合、完答したつもりでもミスが発生することがあります。部分点を狙いながら時間内に一通り解くのが現実的な戦略です(第2問の対策方法)。
簿記3級の不合格は恥ずかしくない|まとめ
簿記3級は一般的に見ると難易度の高い資格試験です。
合格率は40%前後で2人に1人以上が落ちる試験であるため、初学者の方が受験に挑戦して不合格になったとしても全く恥ずかしくありません。
そして、仮に不合格になったとしても落ち込まずに次の受験までにやるべきことをしっかりとこなしましょう。
合格に向けて勉強をきちんとやり直せば、次の受験では確実に合格できるでしょう。
また、独学での対応が難しいと感じた方は通信講座の利用をぜひ検討してみてください。
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そうしないと試験本番で電卓が思うように使えません。
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