工業簿記って何?商業簿記と原価計算・工業簿記の違いは?現役大学教員が徹底解説!

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簿記2級

簿記には商業簿記と工業簿記の2つがあるって聞いたけど、どんな違いがあるの?

詳しく知りたい!

この記事ではこんな疑問にわかりやすくお答えします!

簿記というと商業簿記のことを一般的に差しますが、実は工業簿記もあります。

工業簿記は簿記2級合格を目指す上で学習が必須になります。

商業簿記と工業簿記は目的や内容が全然違うので、勉強の仕方も異なります。

違いがわからないと、簿記資格の合格が遠のいてしまします。

また、会社で恥ずかしい思いをすることになるかもしれません。

この記事では、大学で簿記を教えている現役教員が商業簿記と工業簿記の違いを徹底解説します。

この記事でわかること
  • 工業簿記とは何か?
  • 原価計算とは何か?
  • 商業簿記と工業簿記の違いとは?

記事の執筆者

会計ラボ
会計ラボ

・年間300人以上の大学生に簿記を教える大学教員。

・日本人の会計リテラシーを高めるを理念に、会計ラボを運営中。

簿記2級の勉強方法は以下の記事で詳しく解説しています。

工業簿記は簿記2級の範囲になります。

まだ簿記資格を取得していない人はまずは簿記3級の取得を目指しましょう。

簿記3級の効果的な学習方法は以下の記事で詳しく解説しています。

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簿記学習には電卓が必須!試験前にいきなり電卓を使うのではなく、普段の勉強で使いましょう。

そうしないと試験本番で電卓が思うように使えません。

簿記検定でおすすめの電卓は以下で詳しく解説しています。

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工業簿記とは|製造原価の計算システム

工業簿記とは、製造原価の計算を目的に行われる記録システムのことをいいます。

この工業簿記は管理会計情報を作成するために用いられます。

簿記3級では主に商品を仕入れて販売する会社(商社)を対象としているので、特に製造原価を算定する必要はありません。

しかし、実際には物を作って販売している会社は多いです。

例えば、ユニクロは服を自社で製造して販売しています。

こうした会社の損益計算書や貸借対照表を作成するためには、製造原価の計算システムである工業簿記が必要になります。

損益計算書について

貸借対照表について

原価計算とは|製品原価の計算手続き

原価計算とは製品原価の計算手続きのことをいいます。

原価計算では、以下のような原価情報を作成します。

  • 財務諸表作成のための原価情報
  • 製品をより安く、効率的に製造するための原価管理情報
  • 利益計画に必要な原価情報

簿記2級では原価計算・工業簿記が出題範囲になっています。

原価計算は種々の目的を達成するために製品の原価を計算し、工業簿記はその計算された結果を複式簿記の原理に基づいて帳簿に記入する。

つまり、工業簿記は原価計算の手続なしで実施することはできず、両者は密接した関係にあります。

商業簿記と工業簿記の違いは?

商業簿記と工業簿記の最終ゴールは財務諸表(損益計算書や貸借対照表)を作成することになります。

しかし、商業簿記と工業簿記は①データ処理、②情報(アウトプット)、③情報利用者が異なります。

出典 岡本清他. 2008.『管理会計【第2版】」p.4を基に作成

商業簿記も工業簿記も活用するデータは企業活動による経済データと共通しています。

しかし、データ処理方法、アウトプット、情報利用者が異なります。

商業簿記と工業簿記の違いをまとめると次の通りです。

商業簿記の目的は会社の外部者に成績を報告し、投資に役立つ情報を提供することです。

一方、工業簿記の目的は会社の内部者に製造コストを報告し、経営意思決定に役立てることにあります。

工業簿記は会社の内部者である経営者に対して管理会計情報を報告し、経営意思決定を改善するために利用されます。

どのような意思決定に利用されるかというと、価格の決定や経営改善の指示などです。

当然、会社は製造原価よりも高い価格で販売しないと利益は出せません。

どのような価格にすれば良いのかを検討する際に、製造原価の情報が役立ちます。

また、どのような項目によって製造原価が決まるのか、無駄はないのか、コスト削減などの経営改善にも役立ちます。

もちろん、工業簿記で算定された製造コストは企業外部者にも報告されますが、詳細な内容は報告されません。

工業簿記の勉強内容

商業簿記は、仕訳や財務諸表の作成方法を主に学習しました。

工業簿記ではどのようにして製造原価を算定するのかを中心に学習します。

なお、簿記検定試験では簿記2級と1級で工業簿記・原価計算が出題範囲になります。

簿記2級と簿記1級で学習する工業簿記・原価計算の範囲

簿記2級簿記1級
工業簿記の本質
原価範囲追加
原価計算範囲追加
工業簿記の構造
材料費計算範囲追加
労務費計算
経費計算範囲追加
製造間接費計算範囲追加
部門費計算範囲追加
個別原価計算範囲追加
総合原価計算範囲追加
標準原価計算範囲追加
原価・営業量・利益関係の分析範囲追加
直接原価計算範囲追加
製品の受払い範囲追加
営業費計算範囲追加
工場会計の独立
戦略の策定と遂行のための原価計算
商工会議所HP「簿記検定試験出題区分表等(2022年度適用)

工業簿記は仕訳などはほとんど出てきません。

その代わり、計算をする問題が多く出題されます。

電卓を使う機会も増えるので、電卓の「M+」などの機能を使うなど工夫して解くことが大切です。

工業簿記は簿記2級合格にとても重要な科目

簿記2級は工業簿記が追加されることもあり、難しいと感じる人も少なくありません。

しかし、工業簿記は出題傾向が過去の試験とほぼ一緒なことから、点数が稼ぎやすいという特徴もあります。

そのため、商業簿記よりも工業簿記に力を入れた方が、合格する可能性が高くなると言えるのです。

特に原価計算は試験のメインとして出題されるので、ぜひ過去問題や予想問題をチェックして満点を目指していきましょう。

工業簿記とは|まとめ

  • 工業簿記とは、製造原価の計算を目的に行われる記録システム
  • 工業簿記は企業内部者を対象に、経営意思決定に役立つ情報を提供する
  • 商業簿記と異なり、「計算」が多い

工業簿記は簿記2級を取得する上で非常に重要な科目になっています。

しっかり練習することで高得点を狙える分野でもあります。

簿記2級の勉強方法は以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧下さい。

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簿記学習には電卓が必須!試験前にいきなり電卓を使うのではなく、普段の勉強で使いましょう。

そうしないと試験本番で電卓が思うように使えません。

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